2013 Fiscal Year Annual Research Report
巨大分泌蛋白質リーリンの「機能増強」は、精神神経疾患の革新的改善法になり得るか?
Project/Area Number |
24659036
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
服部 光治 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60272481)
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Keywords | 脳 / リーリン / プロテオリシス / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
リーリンは正常な脳機能に必須の分泌タンパク質であり、その「機能低下」は様々な精神疾患に関与する。特に近年、リーリンの脳室内投与が記憶を増強すること、リーリン発現上昇がアルツハイマー病の発症を遅らせること、ヒトにおいてもリーリンの発現量や機能低下がアルツハイマー病発症に寄与することなどが、欧米の複数のグループから著名な雑誌に報告されている。もし脳内のリーリン量を上昇させることができれば、アルツハイマー病に対する革新的な新規治療法になる可能性が高い。しかし、リーリンは分子量が40万以上という巨大な分子であり、世界的にも、ヒトでその機能を増強する方法が示されたことはなかった。 リーリンが特異的な分解酵素により不活化されることは従来から知られていたが、これを触媒する酵素タンパク質の実体は不明であった。申請者らは、このリーリン特異的分解酵素を生化学的方法により精製し、ADAMTSというメタロプロテアーゼの一種であることを見出した。そして、この酵素のノックアウトマウスではリーリンの分解量が著減していることを見出した。また、培養神経細胞を用いた解析から、標的細胞内におけるリーリン分解もシグナル持続に関与することも見出した。これにより、この酵素を標的とした新規治療法や薬物開発が可能になった。すなわち、ADAMTS-3を阻害することにより、リーリンの機能が長期化または増強され、これにより、アミロイド蓄積の阻害、シナプス伝達の効率化、神経細胞死の防御などが期待できる。
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Research Products
(12 results)