2013 Fiscal Year Research-status Report
神経シグナルを洗練する網膜回路リファインメント機構の解明
Project/Area Number |
24659038
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小池 千恵子 立命館大学, 薬学部, 准教授 (80342723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 聡 立命館大学, 理工学部, 教授 (50288627)
殿村 渉 立命館大学, 理工学部, 助教 (50581493)
天野 晃 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60252491)
下ノ村 和弘 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80397679)
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Keywords | 視覚 / 網膜 / 電気生理学 / マルチ電極アレイ / 神経回路 |
Research Abstract |
脊椎動物網膜は階層構造を持ち、光信号は視細胞で神経シグナルに変換された後、最終段の神経節細胞に至る過程で精密な情報処理を受ける。申請者らは三次元多点電極アレイ(MEA)を作製し網膜内細胞外電位の計測を行うことにより、正常網膜内層からの振動性シグナルの検出に初めて成功した。本シグナルは網膜外からは計測されないことから、正常網膜の高次階層において抑制されるものと考えられる。本研究では、振動性シグナルの発生・抑制機構を明らかにしたいと考えている。しかしながら、一昨年度に学内の火事により共同研究者の施設が被害を被り、電極作成装置を買い替えなくてはならなくなってしまった。共同研究者らがより良い三次元電極が作成できると考えて別の高性能の装置を共同研究者が購入したが、新規装置で作成した三次元電極の作製が進まず、網膜を用いての解析を行うことがなかなかできなかった。 一方でマルチ電極アレイ装置の確立がより進展し、市販電極用いた解析自体は非常に上手く進んでいる。ノイズが乗らない還流系の確立も完成し、データ解析もラスターブロット、インタースパイクインターバル解析などの方法に加え、より正確に1細胞レベルで解析できる方法を習得しつつある。多ニューロン解析を専門とする研究者との新たな共同研究も進展している。疾患モデルマウスの網膜について平面電極での解析を進めているが、周期的な自発発火の発生メカニズム解析を進めている。三次元電極の作製とデータ取得がネックとなっているが、共同研究者の電極はインピーダンスが低い優れたものであったので、できるだけ共同研究者のものを使用して解析を進めたい。網膜内での電極部位の特定も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年度の学内の火事により共同研究者の施設が被害を被り、電極作成装置を買い替えなくてはならなくなってしまった。より良い三次元電極が作成できると考えて新たな装置を共同研究者が購入したが、新規装置で作成した3次元電極の作製が難しく、網膜を用いての解析が難しかった。しかしながら試行錯誤により、一部結果を得ることができ、さらに網膜深部の電極位置も特定できる可能性を見いだしている。このように少しずつ進展はしているが、苦労している。 それ以外では、マルチ電極アレイ装置の還流系も確立し、市販電極を用いた解析自体は非常に上手く進んでいる。データ解析の多角的な手法もより発展し、データが得られれば解析は速やかに進められる状況である。市販の平面電極を用いて疾患モデルマウスの網膜を解析することにより得られる周期的な自発発火の発生メカニズム解析は進んでおり、新たな知見の蓄積が進んでいる。後は、三次元電極を用いた測定にかかっている。電極の問題が解消された場合には他の問題はほぼ解消することができるので、一気に研究は進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究の遅れは、一昨年度末に学内の火事により共同研究者の施設が被害を被り、よかれと思い購入したより優れた性能をもつ新しい装置で作成した電極が、ノイズが大きく、その後の改良に時間がかかったことによる。少しずつ改良はなされてきているため、このまま改良をすすめると同時に、網膜内部の電極位置を特定する方法を見いだし解析を行う予定である。一方で、我々は疾患モデル網膜で得られた周期性自発発火の発生メカニズムを平面電極で行っており、こちらの解析手法や考え方は、野生型網膜における三次元電極を用いた解析結果へ直接応用できるものである。従って、疾患モデル網膜を用いて解析自体をより押し進める一方、三次元電極でのノイズ発生の原因を追及し、解析ができるよう鋭意努力する方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度、三次元プローブ作製が遅れたため、予算を次年度に繰り越した。 共同研究者の電極作成や、疾患モデルマウスでの周期性自発発火の解析に使用する。また浜松ホトニクスとの解析のための予算を念頭に置いている。
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