2012 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞由来形質細胞様樹状細胞を用いたワクチンへの応用
Project/Area Number |
24659040
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
川端 健二 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, プロジェクトリーダー (50356234)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | iPS細胞 / ワクチン |
Research Abstract |
旺盛な増殖能力と多様な細胞への分化能力をあわせもつES細胞あるいはiPS細胞は、再生医療や創薬研究への応用に期待されているが故に、その実用化に向けて多くの研究がなされている。実際、これまでにES/iPS細胞から血小板、造血幹細胞、心筋等をはじめ種々の細胞への分化誘導法が確立されている。ES/iPS細胞から目的の細胞へ高効率に分化誘導する技術の開発が、ES/iPS細胞を用いた医療応用の実現の鍵となる。本研究では、ES/iPS細胞から樹状細胞、特に形質細胞様樹状細胞(pDC)への分化誘導法の確立を行い、それを用いた新たな細胞ワクチン療法に向けた基盤技術の開発を試みることとした。 骨髄ストロマ細胞株であるOP9細胞などの支持細胞を用いることにより、マウスiPS細胞から全ての血液細胞の元となる血液前駆細胞を誘導可能であることを明らかにした。また、血液前駆細胞からGM-CSF等のサイトカインを作用させることにより、樹状細胞を分化誘導することが可能であった。ヒトiPS細胞から血液・免疫細胞を誘導するには、ヒトiPS細胞から血液前駆細胞へ分化誘導する必要がある。ヒトES細胞あるいはiPS細胞から血液前駆細胞を得る方法として、骨髄ストロマ細胞株であるOP9細胞などの支持細胞との共培養法や胚葉体形成法などが汎用されている。そこでまず、VEGF存在下でヒトiPS細胞と支持細胞とを共培養することで血液前駆細胞への分化誘導を試みた。その結果、ヒトiPS細胞由来のコロニーが隆起してできた嚢状構造の内部に血球様の球状細胞が出現するのが確認された。この血球様細胞は、血液前駆細胞のマーカーであるCD34やCD43を発現する細胞であることがフローサイトメトリー解析により確認され、この血液前駆細胞を利用することにより、ヒト樹状細胞もiPS細胞から分化誘導できる可能性が示された。
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