2012 Fiscal Year Research-status Report
カイコ病原性真菌感染モデルを用いた新規感染症治療薬の探索系の確立
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24659041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関水 和久 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90126095)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 真菌 / 感染症 / 微生物 / 抗真菌剤 / カイコ |
Research Abstract |
我々は、これまでにカイコ病原性細菌感染モデルを用いて、治療効果を指標とした新規抗生物質の探索系を確立し、新規抗生物質カイコシンの同定に成功している。一方で、真菌は、細菌と比べて種として宿主と近く、作用点が真菌に特異的な化合物を見いだすことが難しいため、抗真菌薬の開発は困難を極めている。そこで、毒性を加味した治療効果の評価が可能な、カイコを用いた新規抗真菌薬の探索系を確立するため、本年度は、様々な菌種によるカイコ真菌感染モデルを確立し、抗真菌薬のカイコにおける体内動態を解析をおこなった。 これまでに、Candida albicansとCryptococcus neoformansによるカイコ感染モデルを確立し、抗生物質による定量的な治療効果を評価できることを示している。本研究では、さらに、重要な真菌感染症の起因菌であるAspergillus fumigatus, Candida kruseiについて、血中投与による感染モデルの確立を試みた結果、それぞれ2日後、及び4日後にカイコが殺傷されることを見出した。病原性がないとされるSaccaromyces cerevisiaeの注射では、4日後もカイコは殺傷されなかった。また、A. fumigatus感染カイコに対する、抗真菌薬の投与による治療効果を確認できた。従って、様々な真菌感染症に対する感染と治療の評価系が確立できたと考えられる。 さらに、抗真菌剤であるフルコナゾールとミカファンギンの、カイコにおける薬物動態を解析した。それらの血中濃度推移を解析したところ、哺乳動物と同様に分布相と消失相の二相性を示した。定常状態における半減期は、カイコとマウス間で二倍の差に収まっており、また定常状態における分布容積についても同様であった。従って、抗真菌薬の体内動態は、カイコと哺乳動物とで類似した点が多いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、様々な真菌に対するカイコ感染モデルを確立できた。さらに、既存の抗真菌薬による治療効果の評価モデルが確立できた。また、抗真菌薬のカイコにおける体内動態も計画通り解析を行い、カイコにおいても哺乳動物と類似している点があることを見いだした。現在、計画を前倒して試験管内における、抗真菌活性を有する化合物を探索していることから、当初計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、計画に従って、カイコ真菌感染モデルを用いた、治療効果を指標とした抗真菌薬の探索を実施する。また、さらに複数の抗真菌薬について、体内動態の解析を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度繰り越した研究費については、計画以上の治療効果を有する抗真菌薬の探索を行うために、化合物の購入に充当する。また、マウスカンジダモデルにおいて必要な、大量の化合物の購入に充当する。
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Research Products
(8 results)