2014 Fiscal Year Annual Research Report
動物個体での蛍光イメージングへの応用を目指した新規蛍光消光団の開発
Project/Area Number |
24659042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花岡 健二郎 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70451854)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬学 / 分析科学 / 有機化学 / in vivo イメージング / 蛍光 / 近赤外蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ラットやマウスなどの動物個体内において生体分子可視化ツールとして機能し、生命現象の解明や医用診断薬開発に繋がる近赤外蛍光プローブの開発を見据えた、近赤外蛍光に対応した「蛍光消光団」の開発を目的としている。近赤外蛍光プローブの開発には、近傍の近赤外蛍光団の蛍光を十分に消光可能な「消光団」が有用であるが、現在市販されている近赤外蛍光を消光可能な「消光団」は生体内での安定性やその吸収波長の長さに問題がある。そのため、優れた消光団の開発は近赤外蛍光プローブの開発研究の分野においてブレイクスルーとなりうる。 平成24年度および平成25年度に、新たな近赤外蛍光消光団のデザインおよび合成によって、780 nm以上に吸収波長を有する実用的な近赤外消光団である「SiNQ類」の開発に成功した。平成26年度は、開発した新規消光団を用いて、近赤外蛍光プローブの開発を行った。これによって、開発した消光団が生命科学研究において真に有用であることを示すことを目的とした。標的生体分子としては、MMP (matrix metalloproteinase)に着目し、新たなMMP酵素活性を検出する近赤外蛍光プローブの開発、さらには培養細胞および皮下腫瘍モデルマウスへと応用を行った。MMPは細胞外基質の分解において中心的な役割を担う酵素であり、がん、動脈硬化、関節リウマチ、パーキンソン病など様々な疾患での過剰発現が報告されている。開発したプローブは酵素反応前には十分に消光されており、酵素反応後に大きな蛍光上昇を示した。また、実際に本プローブを皮下腫瘍モデルマウスへと応用したところ、腫瘍部位での蛍光上昇を観察することに成功した。これら研究成果は、国内・国外特許出願を行い、また、投稿論文として「Journal of the American Chemical Society」にて発表された。
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Research Products
(13 results)