2013 Fiscal Year Annual Research Report
microRNA創薬を指向した細胞膜透過性パイ電子充填型人工核酸の創製
Project/Area Number |
24659045
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
上野 義仁 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20250467)
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Keywords | アンチセンス核酸 / ベンゼン / 二重鎖形成 / 熱的安定性 / 熱力学的安定性 / 塩基識別能 |
Research Abstract |
これまでに糖部をベンゼン環で置換したベンゼン-リン酸骨格からなる人工核酸を創製してきた。ベンゼン-リン酸骨格から成る人工核酸は、ヌクレアーゼ耐性を持つこと、疎水性のベンゼン環を内部に有するため天然の核酸を比較して細胞膜透過性であることが明らかとなっている。しかし、ベンゼン-リン酸骨格からなる人工核酸は、リン酸間の距離が天然の核酸と比較して長いことから、天然のRNAとは結合することができないために核酸医薬に応用するためには不適であった。本研究では、ベンゼン-リン酸骨格のベンゼン部位と、熱的安定性が高いとされているglycol nucleic acid (GNA) の糖部開環型核酸の側鎖をあわせた次世代型新規人工核酸Aromatic Nucleic Acid (ArNA) を設計・合成し、その性質を検証した。ArNAユニットとして、シチジンアナログCbとアデノシンアナログAbの合成に成功した。これらを含むオリゴマーを核酸自動合成機により合成し、アナログを含む二重鎖の熱的安定性を検証した。その結果、DNA-DNA二重鎖、RNA-RNA二重鎖においても、アナログを導入することで、二重鎖の結合は不安定になるものの、天然型よりも優れた塩基識別能を有することが明らかとなった。DNA-RNA二重鎖においても同様に、天然型と比較して熱的安定性は低下したが、DNA-DNA二重鎖、RNA-RNA二重鎖よりも、天然型とのTm値の低下度は小さくなり、その自由エネルギーはより二重鎖形成に有利となった。つまりアナログを導入したオリゴマーは核酸医薬に有効なアナログであることが示唆された。
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