2013 Fiscal Year Research-status Report
ライブラリー化合物の有効活用を目指した新規生物活性評価手法の構築と応用
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24659046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 信孝 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60109014)
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Keywords | 天然有機化合物 / 化合物ライブラリー / スクリーニング / アッセイ / 生物活性化合物 |
Research Abstract |
本研究は、化合物ライブラリーに含まれる各種天然有機化合物やキラルな合成化合物を有効活用するための新しい化合物探索手法の開発と実証を行うことを目的としている。平成25年度は、スクリーニング対象とするタンパク質の拡張とヒット化合物からの阻害剤の同定に向けた精査を行うとともに、スフィンゴシンキナーゼ(SphK)阻害活性を示すjaspine Bの立体異性体の構造活性相関研究を展開した。 まず、複数の細胞増殖に関わるタンパク質の化学合成を検討した。平成24年度までに検討を行ったMDM2やMDMXとは異なり固相合成法のみでは目的のペプチド鎖を得ることができなかったが、native chemical ligation法などを組み合わせることにより1種類の目的タンパク質を得ることに成功した。蛍光標識基の付与とリフォールディングを経て得られたタンパク質は、リン酸化チロシンを含むペプチドの配列を認識することを確認した。また、平成24年度までに得られたMDM2・MDMXに対するヒット化合物について精査を進め、複数の新規阻害剤を見出した。 平成24年度までに確立したjaspine Bの立体異性体の化学合成法を活用してさまざまなアルキル鎖長を有する誘導体を作成した。また、医薬化学的観点で優位性が期待できる官能基や環構造を含む誘導体についても設計・合成した。このうち複数の誘導体に強力なSphK阻害活性を有することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究では、新たに1種類の化学合成タンパク質を調製し、得られたタンパク質がスクリーニングに利用可能であることを確認した。また、蛍光タンパク質を用いて化合物アレイ解析を行い、複数の結合性化合物を同定した。さらに、jaspine Bの構造活性相関研究を展開し、強力な活性を示す誘導体を見出した。一方で、平成24年度までの研究で見出されたヒット化合物の一部について、化学合成による構造決定が未達となっており、引き続き検討を行う必要がある。 全体を通して、2年計画で予定していた実施計画通りの進捗が達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、スクリーニングに用いるタンパク質の種類を増やすことにより、本課題で確立したアプローチの有用性を実証する。これまで見出されてこなかったライブラリー化合物からの医薬品候補化合物の探索を通して、創薬研究の充実を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、天然有機化合物ライブラリーの有効活用を目指したDアミノ酸からなるタンパク質の作成とこれを用いたスクリーニング研究を行っている。スクリーニングにより複数のヒット化合物を取得したが、ヒット化合物の鏡像異性体を化学合成するために、当初の想定を上回る期間を要することが判明した。これに伴い、事業期間内にヒット化合物の鏡像異性体の細胞レベルでの生物活性評価を実施できなかった。 鏡像異性体の化学合成と生物活性評価に関わる研究消耗品(80万円) 研究成果の発表に関わる国内旅費(10万円) 化合物の分析依頼費(10万円)
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[Journal Article] Affinity-based screening of MDM2/MDMXp53 interaction inhibitors by chemical array: identification of novel peptidic inhibitors2013
Author(s)
Noguchi, T.; Oishi, S.; Honda, K.; Kondoh, Y.; Saito, T.; Kubo, T.; Kaneda, M.; Ohno, H.; Osada, H.; Fujii, N.
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Journal Title
Bioorg. Med. Chem. Lett.
Volume: 23
Pages: 3802-3805
DOI
Peer Reviewed
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