2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞内局在性を有するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の合成
Project/Area Number |
24659050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
宮田 直樹 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50114674)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬 / 細胞内局在性 / エピジェネティクス / 分子標的治療薬 / 制がん剤 |
Research Abstract |
遺伝子発現をエピジェネティックに制御する酵素の一つであるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)には、核に存在しヒストンを基質とするHDACのみならず、HDAC6のように細胞質に局在し微小管のα-チューブリンを基質とし微小管の安定化に寄与するHDAC、あるいは、HDAC3,8,9などのように細胞核と細胞質の両方に存在するHDACなどが見出されている。HDACは、広くタンパク質のアセチル化されたリシン残基を脱アセチル化酵素として、その多様な機能が注目されており、本研究は、HDACの細胞内局在性と機能発現との関連の解明に焦点を当て、細胞内局在性を有するHDAC阻害剤を設計・合成しHDACの機能解明に役立たせることを目的とする。今回、HDAC8に焦点を当てた。HDAC8は、最初核内に存在しコアヒストンに対して脱アセチル化能を有することが報告されたが、最近、平滑筋細胞では細胞質にも局在することがわかり、平滑筋細胞の収縮を制御する可能性が示唆されている。本年度は、クリックケミストリーの手法を用いることにより、HDAC8に選択性を有する阻害剤を見出すことが出来た(J.M.C., 2012)。一方、HDAC阻害剤に細胞内局所的な活性を持たせるためにはケージド化合物の手法を用いることとした。なお、ケージド化合物とは、光解除性の保護基で生理活性分子を保護し,一時的にその活性を失わせた分子のことである。既存のHDAC阻害剤の多くが活性官能基としてヒドロキサム酸構造を有することから、ヒドロキサム酸構造部分を光解除性保護基で保護した化合物を合成し、光照射により脱保護されHDAC阻害活性を示す化合物群の合成を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞核以外にも局在性を有するHDACに対する選択的な阻害剤として、HDAC8選択的な阻害剤およびSIRT2選択的阻害剤を創出することができたことは一つの達成点であり、評価できる。HDAC3阻害剤についても成果がまとまってきており、近々に学術論文に発表する予定である。HDAC阻害剤への細胞内局在性の付与については、当初、局在性官能基と蛍光性官能基を有する無保護のHDAC阻害剤の開発を計画した。この化合物では、局在性官能基によりHDAC阻害剤が細胞内で局在し、その局在性を蛍光性官能基により確認することができる。局所性が確認できた阻害剤によりHDACを阻害させHDACの機能を解析する方法である。現在、この考えに基づく化合物については、設計・合成を検討中であるが、この方法では、無保護の阻害剤が細胞内で局在化する前にすなわち非局在的にHDACを阻害する可能性を除外できない。そこで、光解除性の保護基を持つケージド化合物の手法を取り入れた化合物の設計・合成を行うことにした。この方法では、HDAC阻害剤が細胞内で局在化した後に、光照射により保護基を除去することにより、局所的に阻害活性を発現させることができる。今後は、光解除性の保護基を持つ細胞内局在性HDAC阻害剤の開発に軸足を置いて研究を展開することを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
HDAC選択的な阻害剤の開発研究は、今後も予定通り推進する。 細胞内局在性HDAC阻害剤の創製については、今年度中に、光解除性保護基を有するHDAC阻害剤の合成の目処を付けたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Rapid Discovery of Highly Potent and Selective Inhibitors of Histone Deacetylase 8 Using Click Chemistry to Generate Candidate Libraries2012
Author(s)
Takayoshi Suzuki, Yosuke Ota, Masashige Bando, Aogu Gotoh, Yukihiro Itoh, Hiroki Tsumoto, Prima R. Tatum, Tamio Mizukami, Hidehiko Nakagawa, Ryuzo Ueda, Katsuhiko Shirahige, and Naoki Miyata
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Journal Title
J. Med. Chem.
Volume: 55
Pages: 9562-9575
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Design, Synthesis, and Biological Activity of a Novel Series of Human Sirtuin-2-Selective Inhibitors2012
Author(s)
Takayoshi Suzuki, Mohammed Naseer Ahmed Khan, Hideyuki Sawada, Erika Imai, Yukihiro Itoh, Katsura Yamatsuta, Natsuko Tokuda, Jun Takeuchi, Takuya Seko, Hidehiko Nakagawa, and Naoki Miyata
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Journal Title
J. Med. Chem.
Volume: 55
Pages: 5760-5773
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 新規SIRT2選択的阻害薬の創製2012
Author(s)
澤田英之, 鈴木孝禎, 今井英里佳, Mohammed Naseer Ahmed Khan, 中川秀彦, 宮田直樹
Organizer
日本ケミカルバイオロジー学会 第7回年会
Place of Presentation
京都
Year and Date
20120607-20120609