2012 Fiscal Year Research-status Report
メタロ-β-ラクタマーゼ産生薬剤耐性菌を蛍光で捉えるためのプローブ開発
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24659054
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
黒崎 博雅 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (70234599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 佳宏 熊本大学, 環境安全センター, 准教授 (10363524)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 細菌感染症 / β‐ラクタム剤 / 蛍光検出 / 院内感染 / 金属酵素 / ラクタマーゼ |
Research Abstract |
本研究では、既存の方法とはまったく異なり、メタロ‐β‐ラクタマーゼ産生菌をその現場で、簡便・迅速に菌を培養することなく1個の菌をそのままでリアルタイム検出できる新規蛍光プローブの開発を目的とし、本酵素を産生する多剤薬剤耐性菌による感染制御を目指す。具体的には、メタロ‐β‐ラクタマーゼに特異的に結合する蛍光プローブの分子構造を最適化し、メタロ‐β‐ラクタマーゼを産生する薬剤耐性菌を実時間によって視覚化できる新規な蛍光プローブを得ることを目的とする。 平成24年度では、β‐ラクタム剤の中間体に蛍光発色団を結合した蛍光剤の合成に成功した。合成した蛍光β‐ラクタム剤が菌体内のメタロ‐β‐ラクタマーゼと結合して蛍光発光し、外部からある一定の強度で菌の蛍光発光が捉えられるかを検証する必要がある。そこで、メタロ‐β‐ラクタマーゼ産生菌の培養を行った後、この菌体に合成した蛍光剤を溶かした緩衝液で数分間インキュベートして蛍光染色を行った。蛍光顕微鏡による観察から、メタロ‐β‐ラクタマーゼ産生菌の蛍光発光が認められた。現在、コントロール実験としてメタロ‐β‐ラクタマーゼを産生しない菌について検討中である。 本研究では1個の菌を高感度かつ定量的にリアルタイムで検出するシステムを構築しようとする点においても独創的である。本法は新しい臨床検査システム開発への重要な知見を与えるだけでなく、社会的貢献性の高い研究であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の具体的な研究計画では、新規メタロ‐β‐ラクタマーゼ産生菌を検出するための蛍光検出剤を合成し、その蛍光剤のメタロ‐β‐ラクタマーゼ産生菌の蛍光発光を観察することであった。上述したように新規な蛍光β‐ラクタム剤の合成を行い、メタロ‐β‐ラクタマーゼ産生菌を蛍光法で捉えることに成功した。この理由により、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、蛍光β‐ラクタム剤がメタロ‐β‐ラクタマーゼ産生菌と非産生菌を蛍光強度差で判別できるかを明らかにすることである。次にメタロ‐β‐ラクタマーゼを産生する臨床株のグラム陰性菌の菌体の蛍光発光の確認と実証データの蓄積を行う予定である。得られた知見を基に平成24年度に合成した蛍光検出剤の分子構造の改良を行い、最適化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:化合物の最適化と菌の培養のために合成系ならびに生物系試薬類の購入に充てる。 旅費:国内旅費としては研究協力者との研究打合せと実験(名古屋大学, 2日間を2~3回程度)のための旅費を計上した。 また、平成24年度に得られた研究成果を平成25年6月5~8日、横浜で開催される28TH INTERNATIONAL CONGRESS OF CHEMOTHERAPY AND INFECTION で報告するための旅費を計上した。 その他:投稿論文のための英文校閲ならびに投稿料も計上する。
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Research Products
(1 results)