2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素の毒性発現を規定するヒ素メチル基転移酵素の選択的スプライシング
Project/Area Number |
24659059
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
角 大悟 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (30400683)
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Keywords | 慢性ヒ素中毒 / スプライシング / メチル化酵素 / AS3MT |
Research Abstract |
前年度までの結果から、AS3MTの選択的スプライシング量を鋭敏に検出できるシステム開発し、そのシステムを活用することで亜ヒ酸の曝露によってヒト肝癌HepG2細胞で、AS3MTの選択的スプライシングに異常が生じ、エキソンの4と5番目が欠落したΔ4,5 AS3MT mRNAが上昇していることを明らかにした。 そこで、本年度はHepG2細胞が細胞外からの刺激によって選択的スプライシングが誘発、つまりΔ4,5 AS3MT mRNAが上昇しているのではないかと推測した。HepG2細胞を酸化ストレスの一つとして過酸化水素に曝露したところ、Δ4,5 AS3MT mRNA量に変化は起こらなかったが、Δ4,5 AS3MT mRNA以外の新規スプライシングフォームが検出された。新規スプライシングフォームについて検討を進めたところ、本スプライシングフォームは、エキソンの3から9番目が欠落したΔ3-9 AS3MT mRNAであることが明らかとなった。この選択的スプライシングは過酸化水素濃度依存的に誘発されることがわかった。過酸化水素同様に、他の酸化ストレス(t-ブチルヒドロペルオキシドやクメンヒドロペルオキシド)で検討を行ったところ、Δ3-9 AS3MT mRNAは検出されなかった。 過酸化水素曝露によってHepG2細胞でΔ3-9 AS3MT mRNAが誘導される機序を明らかにするために、データベースを活用したところ、AS3MTのスプライシングにSRp40タンパク質の関与が浮上した。SRタンパク質はESE(exon splicing enhancer)を構成するタンパク質であり、各エキソンに結合することでエキソン部分を正しく認識させることができる。現在、HepG2細胞を過酸化水素に曝露後のSRp40タンパク質の発現量、ならびにDNA結合活性について検討を進めているところである。
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