2012 Fiscal Year Research-status Report
尿毒症物質とバイオマーカー探索におけるジレンマの解消
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24659062
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 高明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80292209)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 腎不全物質 / メタボローム解析 / LC/MS/MS |
Research Abstract |
我々はメタボローム解析を組み合わせて新たな腎不全物質の発見とその除去の方法を見いだした。特に生体内でADMA、GSA、trans-aconitateが血圧を上昇させ、酸化ストレスを惹起させることを確認している。 しかしながらメタボローム解析はランニングコストが著しく高価で、一度に測定できるサンプル処理数に限りがある。従って多数の臨床サンプルを採取して予後や薬物の効果を検証する臨床研究には向かない。またメタボローム解析は一つの少量の検体を用いて一度に多量の化合物を同時測定するため測定値の精度管理に限界がある。 そこで我々が慢性腎不全患者のメタボローム解析から見いだした腎不全時に蓄積する尿毒症物質の抗体やMS測定系を用いた大量測定法を樹立し臨床での実用に耐えるバイオマーカーの絞り込み(バリデーション、信頼性向上)を行いメタボロームと臨床と結びつける診断方法確立を目指した。 申請者は既に腎不全物質であるguanidinosuccinateとguanidinoacetateに対する同位体を用いた測定系を立ち上げた。またTCA回路のコンポーネントに対する測定系を個別的に作製し、大動脈瘤手術後、急性腎不全、麻酔科で手術前後に腎機能が悪化する症例、高血圧、糖尿病患者の血液尿のサンプルを集め、それぞれの物質を測定することで、急性腎不全や慢性腎臓病の早期診断マーカーとしての確立と臨床サンプルを用いた診断への有用性を確認した。 これらの結果は慢性腎不全や糖尿病腎症などの早期発見と治療を可能にすると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタボローム解析による網羅的解析系に加え、LC/MS/MSを用いた精密定量系の確立も行った。 この系を用いて多くの臨床サンプルを測定することができて測定系が大きく進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように慢性腎臓病患者のメタボローム解析を行って同定された尿毒症物質が実際に臨床で有効なマーカーとなりうるために越えなければならないハードルがある。 本研究で特異的なLC-MSあるいはELISA法を立ち上げることによって多くの臨床サンプルを測定することが可能となった。そこで各バイオマーカー候補分子の測定を数100から数1000人分のサンプルを用いて検証(バリデーション)を行い、各バイオマーカー候補分子の有効性を検証することで、臨床医療における診断の実施を検討する。さらに他の腎疾患(腎炎、ネフローゼ、遺伝性腎疾患)のみならず糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、妊娠中毒症などの腎疾患、心筋症、虚血性心疾患等の心疾患とその加療後の解析を行い新たなマーカーとして確立する予定である、
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
LC/MS/MS用のカラムと多数のサンプルを処理するフィルタの購入をはかる
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Research Products
(3 results)