2012 Fiscal Year Research-status Report
標的絶対プロテオミクスに基づく個別癌化学療法の新規診断基盤の樹立
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24659063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺崎 哲也 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60155463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 康雄 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70583590)
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 助教 (20334774)
立川 正憲 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00401810)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 標的絶対定量プロテオミクス / 個別化 / リン酸化 / 脳腫瘍 / 受容体 / 分子標的薬 |
Research Abstract |
本研究は、定量的標的絶対定量プロテオミクス(Quantitative Targeted Absolute Proteomics)の手法を用いて、脳腫瘍組織における各種増殖因子受容体のリン酸化プロファイルを定量的に解明することによって、分子標的薬を用いた化学療法の個別最適化診断の基盤を構築することを目的とする。本年度は、液体クロマトグラフィー-質量分析装置(LC-MS/MS)を用いた増殖因子受容体のリン酸化定量系の確立を目的とした。まず、各種増殖因子受容体のリン酸化割合を算出するため、リン酸体及び非リン酸化体を区別せず一斉定量系する系を構築し、ヒト脳腫瘍組織の細胞膜画分を用いて定量値をそれぞれ算出した。その結果、悪性脳腫瘍組織における増殖因子受容体の発現には大きな個人差が認められ、上皮成長因子受容体を(EGFR)は検体間で1,000倍以上もの発現量差が認められた。一方で、血小板由来成長因子(PDGF)やc-kitなどは発現している検体が非常に限られていた。さらに、増殖因子受容体の自己リン酸化部位のリン酸化量を高感度に定量するために、Hammoc(Hydroxyacid-modified metal oxide chromatography)法を導入し、増殖因子受容体のリン酸化ペプチドの濃縮法を確立した。具体的には、EGFRをモデルケースとして、その高発現細胞の酵素消化物を用いて濃縮効率を評価するとともに、精製ビーズの平衡化、洗浄および溶出条件を最適化した。定量標的とするリン酸化ペプチド配列の化学合成体を用いて、MS/MSの最適条件を決定した。次年度は、各増殖因子受容体を高発現する癌細胞を用いた、リン酸化定量に本手法を応用し、癌増殖及び分子標的薬の効果に寄与するリン酸化部位の同定、定量的リン酸化プロファイルに基づいた分子標的薬の提案とその有効性の実証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、増殖因子受容体の自己リン酸化部位のリン酸化量の高感度定量に必要なサンプル前処理及びLC-MS/MSの諸条件の最適化を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標である、ヒト脳腫瘍における定量的リン酸化プロファイルの解明と個別化療法の診断基盤の確立に向けて、本研究によって開発した研究基盤を臨床へ橋渡しを視野に入れて研究を推進するとともに、臨床医との連携を強化します。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、当初計画通り、(1)癌増殖及び分子標的薬の効果に寄与するリン酸化部位の同定、(2)定量的リン酸化プロファイルに基づいた分子標的薬の提案とその有効性の実証、(3) 脳腫瘍摘出検体における定量的リン酸化プロファイルの解明を実施する。標的定量プロテオミクスの手法を用いた培養細胞や脳腫瘍検体などの実試料の定量と、細胞生物学的な手法を組み合わせて、抗がん剤の個別化療法の診断基盤の樹立を最終目標としている。一連の研究には、細胞培養、細胞膜タンパク質の調製、リン酸化ペプチドの精製濃縮のための関連試薬、LC-MS/MS分析に関する試薬などが必要であり、研究費はこれら消耗品の購入に充てる。さらに平成25 年度は、本研究によって得られた成果を積極的に論文発表および国内・国外で学会発表するために、論文校閲費、投稿料、国内旅費、外国旅費として使用する。
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Research Products
(6 results)