2012 Fiscal Year Research-status Report
受容体応答性の改変による機能選別型変異FGF19の糖脂質代謝調節作用の解析
Project/Area Number |
24659064
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮田 昌明 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90239418)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | FGF19 / FGF受容体 / 糖代謝 / FXR欠損マウス / 脂質代謝 |
Research Abstract |
受容体応答性の改変による機能選別型変異組換えfibroblast growth factor (FGF) 19タンパクの発現系の構築と機能解析を実施した。FGF19はFGF受容体(FGFR)のFGFR1c, FGFR2c, FGFR3c, FGFR4を活性化するが、C末端アミノ酸(177から216)を欠失させることにより、FGFRへの応答性が一部消失することが考えられた。そこでFGF19のC末端アミノ酸(177から216)を欠失した組換えFGF19タンパクの発現系を構築し、大腸菌から変異組換えFGF19タンパクを精製した。この変異型FGF19と非変異型FGF19タンパクをHepG2細胞に処理したところ、胆汁酸合成酵素のCyp7a1の発現低下は両方の組換えFGF19タンパクで認められたが、非変異型FGF19で有意な脂質代謝関連遺伝子の発現低下が認められる濃度で、変異型FGF19による発現低下は認められなかった。この結果はFGF19タンパクのC末端40アミノ酸の欠失により、受容体応答性に変化が生じ、脂質代謝調節関連のシグナルが減弱した可能性を示している。現在FXR欠損マウスへの変異型FGF19投与の影響を解析している。さらにFGF19のN末端に変異を導入した複数種の変異組み換えFGF19タンパクの発現系を現在構築中である。またFGFR1c, FGFR2c, FGFR3cとFGFR4並びに補助因子のβ-Klothoをサブクローニングして、FGFR活性化評価系の構築を実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では複数種のN末端に変異を導入した組み換えFGF19タンパクの発現系を構築し、FGFR活性化評価系により、受容体応答性を評価する予定であった。ところが変異型組換えFGF19の発現系とFGFR活性化評価系の構築が予定よりも進まなかった。この原因として、N末端に変異を導入した変異型組換えFGF19の発現系については、一部変異タンパクの安定性が低いためか、タンパク発現の確認が予想以上に困難であったことがあげられる。また受容体応答性評価系については、各受容体の発現レベルにバラツキがあり、定量的な解析が困難だった。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度問題となったN末端に変異を導入した変異型組換えFGF19タンパクの評価については、タンパクが安定に発現するものから受容体評価系が構築され次第、順次解析を実施することとする。受容体評価系における受容体発現レベルにバラツキがある問題については、細胞増殖機能と糖脂質代謝機能に中心的な役割を担っており、同レベルの発現が認められる各々FGFR1c とFGFR4に特化して解析することとする。また細胞系で予想された受容体応答性を示す変異組み換えFGF19タンパクについてはFxr欠損マウスやストレプトゾトシン処置糖尿病モデルマウスに投与して、個体レベルでの糖代謝改善効果と細胞増殖作用について早期に解析する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費150万円については、変異型組換えFGF19タンパク発現系の構築のためのPCR関連試薬、受容体評価系のための細胞培養関連試薬、抗体、ウエスタンブロット試薬、個体レベルの機能解析のための動物飼育関連物品、遺伝子発現調節解析試薬、糖代謝測定試薬に使用する。
|