2013 Fiscal Year Research-status Report
乳児・新生児に適用可能な非侵襲的薬物濃度モニタリング技術の開発
Project/Area Number |
24659066
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山本 康次郎 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70174787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坡下 真大 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20613384)
青森 達 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (40620802)
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Keywords | 薬物治療モニタリング / 血球移行 / 微量定量法 |
Research Abstract |
本研究では微量サンプリング技術を用いた薬物治療モニタリング法を確立し、最終的には非侵襲的薬物動態解析法の確立を目指すものである。人体への侵襲を最小限に抑えるためには薬物濃度測定に供する試料を微量に抑える必要があり、その中に含まれる超微量薬物を高感度に測定する技術が必要である。一方、代表的な微量サンプリング法であるスポット法では毛細血管から得られる血液を用いるが、その中の薬物濃度と通常用いられる静脈血漿中濃度の関係についても検討する必要がある。特に、血液と血漿では血球の有無が重大な相違であり、薬物の血球移行性の影響についても検討する必要がある。 本研究では、従来から取り組んでいた抗HIV薬ダルナビルを対象として蛍光検出による薬物濃度測定法を確立し、血球内の微量薬物の測定に適用できることを確認した。また、薬物の血球移行性に及ぼす併用薬物の影響などを検討し、血球表面に発現する薬物輸送担体の機能が重要であることも明らかになった。特に、臨床的にダルナビルと併用されるリトナビルが、ダルナビルの血球移行性の決定因子として重要であることを示唆するデータが得られている。しかし、ダルナビルの血球移行性に及ぼすリトナビルの影響が、従来予想されていた薬物輸送担体阻害作用では説明できないパターンを示しており、より詳細な検討が必要となった。現在、樹立細胞系を用いたin vitro試験によりダルナビルの細胞内動態解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗HIV薬ダルナビルを対象として高感度測定法を確立し、微量試料中の薬物を検出することが可能になった。血液試料と血漿試料の相違点を解明するためにダルナビルの血球移行性を検討したところ、ダルナビルを血球から排出するP糖タンパクをリトナビルが阻害することが示唆されたが、単純な阻害作用だけでは説明できない濃度プロファイルが得られたため、より詳細な試験を行って細胞内濃度の決定因子を探索している。本来の目標である非侵襲モニタリング法を確立する上で、測定に使用する検体の相違の影響を解明することが必須であり、想定外の研究が追加された。
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Strategy for Future Research Activity |
抗HIV薬ダルナビルについて、臨床検体中の薬物を高感度に測定することは可能となっている。非侵襲的モニタリングで使用する生体試料は毛細血管から得られる血液、もしくは皮膚組織の細胞外液を想定しており、通常用いられる静脈血漿との相関を明らかにすることが重要であることから、薬物の血球移行の決定因子の探索を継続する。これに加え、実際に微量検体を用いた場合と通常の静脈血漿を用いた場合の濃度測定値を実際に比較し、非侵襲的モニタリングの有用性とその限界を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
必要な誌薬を購入する予定であったが、年度末に研究計画を若干修正したことにより購入の必要性を再検討する必要が生じたため、次年度に再検討の上購入することにした。 既に研究計画の修正を完了しており、必要な誌薬・消耗品を速やかに購入する。
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