2012 Fiscal Year Research-status Report
三種温度感受性ヒト不死化細胞を用いたHuman Mini Liver構築の試み
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24659067
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
千葉 寛 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40159033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
降幡 知巳 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80401008)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 薬物動態・代謝スクリーニング系 / ヒトの薬物動態・代謝予測系 |
Research Abstract |
本研究は、ヒト肝実質細胞とヒト非実質細胞の温度感受性不死化細胞を新規に樹立し、それらの細胞を独自の肝再生疑似培養法で培養することにより、ヒト肝実質細胞と非実質細胞が協調して働く、新規のin vitroヒト肝モデルを構築することを目的としている。 本年度は、まずヒト肝実質細胞への不死化遺伝子導入の条件を確立するため、まず、ラット肝実質細胞を用い、複数の培養条件を検討した。その結果、従来の培養条件では不死化遺伝子の導入効率は著しく低かった(<5%)が、肝細胞増殖条件下で培養することにより遺伝子導入効率は大きく向上する(~50%)ことが明らかとなった。そこで現在、本検討で確立した条件を用いてヒト肝細胞への不死化遺伝子の導入をおこなっている。一方、本年度ではアルブミン遺伝子のプロモーター/エンハンサー下に赤色蛍光タンパク質mCherryを融合したプラスミドを構築した。このプラスミドをヒト胎児腎由来HEK293細胞およびヒト肝がん由来HepG2細胞に導入したところ、HepG2細胞のみでmCherryの発現が認められた。したがって、本プラスミドはヒト肝細胞の分化度をモニターする有用なツールであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不死化細胞確立において最も困難な点は、希少で脆弱な初代培養細胞に不死化遺伝子を機能的にかつ持続的に発現させることにある。細胞によって導入条件の最適化や不死化に必要な時間は異なっており、個々の細胞を対象とした緻密な検討が必要である。しかし一度不死化が成功すれば、その後は通常の培養細胞と同様の手法で研究を進めることができる。これらのことから、本年度肝実質細胞および内皮細胞において不死化遺伝子導入方法を確立したことは、本研究進展の大きな一歩であると考えている。また、通常肝細胞分化を把握するには細胞破砕やRNA抽出などの実験を繰り返す必要があるが、非侵襲的に肝細胞分化をモニターできるツールを開発したことにより、作製する不死化ヒト肝細胞の分化度を把握する実験量・期間が飛躍的に短縮・簡素化される見通しが立った。さらにこの系を類洞内皮細胞へと応用すれば、同様に内皮細胞の分化度も簡便に把握することが可能なツールを開発できる。これらを用いることにより、培養条件の最適化を極めて容易におこなうことが可能となることから、次年度において飛躍的に実験が進展すると期待される。 以上のことから、本年度は新規のin vitroヒト肝臓モデル構築に向けて概ね順調に研究を遂行したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、ヒト類洞内皮細胞への不死化遺伝子導入の条件確立のため、ヒト大動脈血管内皮細胞をモデルとした検討をおこなったが、その結果、肝実質細胞とは異なり、通常の培養条件により不死化ヒト大動脈血管内皮細胞を確立することが可能であった。したがって次年度にはヒト類洞内皮細胞への不死化遺伝子導入をおこない、不死化ヒト類洞内皮細胞を作成し、不死化ヒト肝細胞およびとともに培養することで、これらの共培養系の確立へと研究を進める。今回作成したヒト肝細胞分化モニタープラスミドは、ヒト不死化肝細胞の様々な分化培養条件の検討に使用できると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度も消耗品のみで使用する
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