2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)
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Keywords | 薬剤反応性 / 薬理学 / シグナル伝達 / 癌 / 生体分子 |
Research Abstract |
近年の癌治療において頻用される、sunitinib,sorafenib などのチロシン・キナーゼ阻害薬(TKI)の服用に伴って、高頻度な副作用として「手足症候群」の発症が認められ、時として治療の中断を余儀なくされるほどの重篤な臨床像を呈することが明らかとなってきた。現状では休薬を行う以外に有効な対処法が存在せず、症状がひどい場合には治療の中断や治療強度の低下を余儀なくされるケースも多く、癌という原疾患の重篤性を考慮すると、治療の成否に影響をおよぼす可能性も考えられる。TKI の使用に伴う手足症候群は、capecitabine で観察されるびまん性に発現する症状とは異なっており、特に圧力がかかりやすい皮膚部位に限局して生じる紅斑で始まることが多く、角化が進行しやすく、強い疼痛を伴うケースが多い。申請者らはオフターゲット・キナーゼに対する阻害作用が手足症候群発症にも関与している可能性を想定し、検討を行っている。平成25年度は動物モデルの構築を目指して検討を進めた。臨床において手足症候群の発症を引き起こすVEGFR-TKIを混餌投与したマウスの耳介に、TLRリガンドであるイミキモドを皮膚に塗布して炎症性樹状細胞の活性化を惹起すると、手足症候群様の皮膚障害が誘発されることが明らかとなった。炎症性樹状細胞より放出されるIL-23が、Th17細胞を刺激してIL-22の放出を誘導し、IL-22に暴露されたケラチノサイトが分化・増殖異常を来すことで、手足症候群様症状が生じていると考えられた。VEGFは炎症性樹状細胞の過剰活性化を抑制することが知られており、VEGFRの阻害によって過剰活性化が生じていると考えられた。さらに、FLT3およびCSF1Rの阻害によって樹状細胞およびTh17の細胞数が変動する可能性が見出され、このことが炎症反応の増悪メカニズムに関与していると考えられた。
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