2013 Fiscal Year Research-status Report
後発医薬品評価支援のための市販後情報収集・解析システムの構築
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24659070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 里子 東京大学, 大学院情報学環, 准教授 (70313145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 康文 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80114502)
佐藤 宏樹 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80451855)
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Keywords | 後発医薬品 / 製剤評価 / 処方実態調査 / 市販後情報 / PK/PD解析 |
Research Abstract |
後発医薬品は先発医薬品と主成分が同一であるが、製剤(剤形、形態、添加物等)は異なっているのが一般的である。このため、先発医薬品との間に何らかの差異を生じることがある。事実、医療現場からは、効果や副作用変化の訴えをはじめ、薬の使用感・服用感の違い、外観の変化等による服薬ノンコンプライアンスなど患者の治療効果を左右しかねない様々な情報が収集されている。とりわけ、製剤設計の相違による薬物体内動態や薬効・副作用の変動は大きな課題である。そこで本研究では、後発医薬品の製剤比較試験・解析にもとづく製剤評価と独自の医療従事者間情報収集ネットワークを活用した後発医薬品の処方実態調査を実施してきた。今年度は薬局薬剤師を対象として後発医薬品にまつわる臨床事例を広く収集し、その解析を行った。これまでに申請者らのグループが協力薬局と独自に構築・運用してきた臨床事例の簡易投稿システムで収集された 8,055 件を対象として後発医薬品にまつわるインシデント事例の詳細な解析を行った。その結果、後発医薬品が関連した事例は 710 件(全体の8.8%)と多く集積されていた。その大部分は、先発医薬品から後発医薬品の切り替えや一般名処方に伴う調剤や処方チェック上のインシデント事例であったが、なかには、製剤の切り替えに伴い、患者が効果や副作用の変化、使用(服用)性の変化を訴えた事例も含まれていた。ツロブテロール貼付剤の先発医薬品から後発医薬品への切り替えに伴い振戦を訴えた症例も報告されており、我々が先に報告した先発・後発ツロブテロール貼付剤の PK/PD解析にもとづき本症例を評価すると副作用の増強が示唆される切り替えであったと考えられた。次年度は、臨床現場で利用可能な後発医薬品の評価方法の確立とその評価を行うことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、主に薬局薬剤師を対象として後発医薬品が関連したインシデント事例の収集・解析を行い、これまで我々が確立してきた後発医薬品の製剤比較法に基づき評価を行う等、順調に研究が進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の流れで研究を推進していく計画である。 (1)後発医薬品情報の医療現場からの収集、分類・整理(今年度からの継続)、(2)後発医薬品の評価基準・評価法の確立(昨年度からの継続)、(3)後発医薬品の評価法に基づく評価の試行と改善、(4)後発医薬品の市販後情報の医療現場への還元
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の調査は、主に我々がこれまでに構築・運用してきた既存の市販後情報収集システムを用いて実施しため、当初計上していた予算を使用しなかったため。 次年度は、これらの助成金を以下に使用することを計画している。 後発医薬品の評価基準・評価法の確立/後発医薬品の評価方にもとづく評価の試行と改善・後発医薬品の市販後情報の医療現場への還元
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Research Products
(4 results)