2012 Fiscal Year Research-status Report
miRNA発現プロファイルを用いた肝薬物代謝能の変動予測
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24659077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
森家 望 兵庫医療大学, 薬学部, 助手 (30509138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
九川 文彦 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (90205063)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | cytochrome P450 / micro RNA / 炎症性疾患 / バイオマーカー |
Research Abstract |
本研究は、薬物代謝酵素cytochrome P450(CYP)の発現に関与するmiRNA群を探索し、肝薬物代謝能の変動予測への応用を目的としている。 本年度は、リポポリサッカライド(LPS)を投与した炎症モデルマウス、アナフィラキシーショックを誘発させたI型アレルギーモデルマウス、慢性関節リウマチを自然発症するSKGマウスを用い、CYP遺伝子発現を調べた。LPSを投与したマウス及びSKGマウスの肝臓では、Cyp3a11などのCYP遺伝子の発現抑制が認められた。一方、I型アレルギーモデルマウスの肝臓ではCYP遺伝子の発現変動はあまり認められなかった。次に、SKGマウス肝臓及び血漿中の網羅的なmiRNA発現解析を行った。その結果、血漿では約100種類のmiRNAの発現変動(2倍以上、0.5倍以下)が認められ、肝臓では約40種類のmiRNAの発現変動(1.3倍以上)が認められた。これらと平行して、miRNA標的遺伝子予測アルゴリズム(MicroCosm Targets、TargetScanなど)を用いて、「CYP遺伝子群を標的とするmiRNA」を探索した。以上の結果から、「SKGマウスの血漿及び肝臓で共に変動が認められ、且つ、CYP遺伝子を標的とするたmiRNA」を選出した。これらのmiRNAは、肝臓のCYP発現変動を反映するバイオマーカーになる可能性が考えられる。 次に、マウス肝癌由来細胞株Hepa1c1c7細胞を用いて、CYP誘導剤がmiRNA発現変動へ及ぼす影響を検討した。Cyp1a1、1a2の誘導剤として知られるBenzo(a)PyrenをHepa1c1c7細胞に曝露したところ、数種のmiRNAの発現変動が認められた。今後、これらのmiRNAが、gain-of-function、loss-of-function実験を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、細胞を用いた実験を中心に予定していたが、関節リウマチなどの疾病モデルマウスを使用する機会が得られたため、動物レベルでの網羅的miRNA発現解析を先行させた。そのため、予定していた細胞レベルでの実験を全て達成することができなかった。 しかしながら、動物レベルでのmiRNAの発現結果を先に得られたことは、膨大な数のmiRNAからCYPに関わるmiRNAをスクリーニングする上で、有用なデータと考えられる。すなわち、CYPの発現変動に関与する可能性のあるmiRNAを動物レベルで事前に把握することにより、より確度の高いmiRNAを対象に絞ることが可能となり、これは研究計画の効率化に繋がったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果より、「SKGマウスの血漿及び肝臓で共に変動が認められ、且つ、CYP遺伝子を標的とする予測されたmiRNA群」に対象を絞り、各miRNAがCYPタンパク発現に及ぼす影響について検討する。まず、候補miRNAの発現ベクター構築、あるいはmiScript miRNA Mimics(QIAGEN)のような合成miRNAを用いて、候補miRNAをマウス肝癌由来細胞株Hepa1c1c7に強制発現させる。その際のCYP mRNAやタンパク質レベルの発現状況を解析し(gain-of-function、loss-of-function実験)、CYP遺伝子に影響及ぼす候補miRNAをさらに絞り込む。 次に、MRE(miRNA recognition element)配列を決定するために、ルシフェラーゼアッセイを行う。具体的には、CYP mRNAの3’UTRをpmirGLO Dual-Luciferase miRNA Target Expression Vector(Promega)のルシフェラーゼ遺伝子下流に繋いだプラスミドと候補miRNAを一過性に共発現させたHepa1c1c7細胞を用いて、ルシフェラーゼアッセイを行う。これらの結果より、MREの配列を決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
miRNA測定用試薬(合成miRNA、リアルタイムPCR測定用試薬など)、ルシフェラーゼアッセイ用試薬(ベクター、クローニング用試薬、検出試薬など)、タンパク質実験用試薬(抗体など)、細胞実験用試薬(培地、血清など)、プラスチック消耗品、を中心に研究費を執行する予定である。
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