2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 彰宏 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40251441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國井 政孝 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80614768)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 上皮形成 / 細胞極性 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
腸管の上皮細胞の極性には細胞内の方向性を持つ輸送(極性輸送)が重要である。しかし極性輸送の分子機構、更に極性輸送と管腔形成の関連については未だ不明な点が多い。本研究では、①極性輸送に重要な既知・新規の遺伝子のノックアウト(KO)マウスを作製・解析する。②解析にあたっては、KOマウス個体の腸を解析すると共に、近年開発された小腸上皮の初代培養系を用いて、上皮細胞内の極性輸送の変化及び、極性輸送の変化が陰窩と絨毛の形態形成にどのように関わるか、を解明する。 応募者は、現在飼育している既知の極性輸送関連蛋白のKOマウス及び、線虫を用いて同定した、新規の極性輸送関連蛋白の組織特異的KOマウス個体と小腸の初代培養細胞系を用いて、腸の上皮細胞内の極性輸送、陰窩・絨毛の形成維持、の分子機構を解明する。具体的には下記の様な解析を行った。 ①既知の極性輸送関連分子(syntaxin3, SNAP23)KOマウスの解析:apical面への輸送に重要なsyntaxin3の小腸特異的KOでは、apical面への輸送の異常や細胞増殖の亢進が生じる。microarrayによってKOマウスではある増殖因子の遺伝子発現が亢進していたため、その現象をin vitroで再現できる系を構築した。また増殖因子の切断に重要な分子の分布を調べられる系を開発した。 ②線虫で同定した新規の極性輸送関連分子の組織特異的欠損マウスの作製と解析:線虫の腸のRNAiによるスクリーニングによって同定した、腸の上皮細胞の極性に重要な遺伝子についてKOマウスを作製し、解析中である。またその分子間相互作用を酵母2ハイブリッド法によって解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸の初代培養系に導入するウイルスは完成し、その感染条件の検討を行っている。syntaxin3に結合する蛋白の解析のため、syntaxin3に対する抗体を作製したが、抗体価が低く、免疫沈降法には使用できない。そのため現在syntaxin3にタグをつけたcDNAを安定発現した細胞株を樹立しているところである。当初初代培養系を用いて、増殖因子の転写を解析する予定だったが、上記のように初代培養系へのウイルス感染等が遅れている。そのため既にあるヒトの腸の細胞株を利用してsyntaxin3のノックダウンをshRNAによって行ったところ、増殖因子の分泌の増加がみられた。そこでこの細胞を利用して、分子機構を解明することを考えている。またsyntaxin3 KOとコントロールのマウスの腸から核分画を取りだし、どのような転写因子が増加したかをiTRAQ法で調べたが、転写因子を検出できるほど感度が高くないようなので、濃縮などを行って再度試行する予定である。線虫で同定した新規の極性輸送関連分子の欠損マウスの作製と解析については順調に進んでおり、いくつかの遺伝子についてKOマウスが出来たため、その解析を行っている。現在の所、腸に大きな異常は見られないようである。ただ出生直後に死亡するマウスもいるため、その遺伝子については小腸特異的KOマウスなどを作製して更に詳細に解析を行う予定である。他のKOマウスについては死亡しないものもあるため、まず対象の遺伝子産物がきちんと無くなっているかを確認しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
小腸特異的KO由来の腸の初代培養細胞にapical markerをウイルスベクターで導入する条件を確立し、その細胞内輸送をリアルタイムで観察する。tag付きのsyntaxin3を発現する細胞株を樹立し、それを用いてsyntaxin3の結合蛋白質をGST-pulldown 法、免疫沈降法などで同定し、どのような蛋白が結合するかを解明する。またsyntaxin3をノックダウンした細胞を樹立したため、そのapical markerの細胞質側に何が結合するかを免疫沈降法などで同定する。syntaxin3 KOマウスでの細胞増殖の原因解明については、それを再現する細胞の系が樹立できたようなので、どのようなシグナル伝達系が関わっているかをシグナル伝達系の阻害剤や遺伝子のノックダウンによって解明する予定である。 新規極性輸送関連分子については、相互の結合の有無を酵母2ハイブリッド法で調べてインタラクトームを作製し、鍵となる遺伝子を同定し、その機能が哺乳類で保存されているかをKOマウスの作製や初代培養細胞を用いて解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養と細胞へのウイルス感染が必要になるため、ウイルスや細胞培養用の培地、試薬の購入を行う。 また酵母2ハイブリッド法を行うために必要な試薬、消耗品を購入する。
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Research Products
(8 results)