2014 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の生存戦略に関与する新規細胞膜ドメイン構造の解析
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24659088
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
和栗 聡 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30244908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 武文 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80548925)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膜ドメイン / Dipeptidase1 / 酸化ストレス / 癌細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではdipeptidase-1 (DPEP1)の細胞内グルタチオン濃度調節機構を介したストレス耐性機構を明らかにする目的で、新規DPEP1陽性膜ドメインの形態学的解析とDPEP1の細胞増殖・浸潤能・酸化ストレス耐性能に関する機能解析を行う。最終年度となる平成26年度は、論文発表に必要なデータを得るために、各種抗DPEP1抗体の詳細評価、DPEP1mRNAの発現解析、酸化ストレスマーカーとして脂質過酸化反応産物である4-hydroxynonenalの検出実験等を行った。期間全体の研究成果は以下の通りである。 1.DPEP1を高発現する胃癌/大腸癌由来のHCC56細胞株を用いて、継代後3日間の細胞塊形成期におけるDPEP1局在を調べたところ、GPI-アンカー型タンパク質特異的な膜ドメインや微絨毛の基部に局在した。一方、上皮としての極性形成を示す長期培養条件や異種移植組織においては細胞の頂部ドメインに局在した。 2.RNAi法によりDPEP1発現を抑制したHCC56細胞を作製し、対照細胞との比較解析を行ったところ、細胞増殖能や細胞移動・浸潤能に有意な変化は認められなかった。また、異種移植モデルにおける組織形態と細胞増殖能についても有意な差は認められなかった。ひ酸水素二ナトリウムの添加により酸化ストレスを誘導し、DNA損傷の程度をリン酸化H2AXの検出により評価したところ、DPEP1の発現抑制細胞では、酸化ストレスによるDNA損傷が有意に増加した。 以上の結果は、癌細胞におけるDPEP1の高発現およびDPEP1陽性膜ドメインが酸化ストレス耐性能に寄与すること、HCC56細胞がDPEP1機能の詳細解析に有用であることを示唆する。本研究によりDPEP1の癌マーカーとしての新たな意義と創薬標的機構を見出すことができた。
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Research Products
(3 results)