2013 Fiscal Year Research-status Report
起電性ナトリウム重炭酸イオン共輸送体の機能多様性をつくりだす分子機構解明に向けて
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24659094
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
石川 透 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70249960)
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Keywords | 重炭酸イオン / トランスポーター |
Research Abstract |
2年目にあたる平成25年度は特にNBCe1-B(NBCe1のスプライシングバリアントの一つ)の細胞内H+による機能調節に関して検討した。HEK293細胞にウシ耳下腺由来NBCe1-BをコードするpIRES2-EGFP発現ベクターを一過性に強制発現させ、蛍光顕微鏡下でGFPの蛍光シグナル陽性の細胞を実験に用いた。NBCe1-B活性に起因する膜電流の測定にはホールセルパッチクランプ法を用いた。細胞内溶液としてBAPTAやEDTAを用いて遊離Ca2+濃度を10-9M、遊離Mg2+濃度を0に調整したNMDG-glutamateに富む溶液を使用した。また、細胞内溶液のpHは100mM HEPESにより緩衝した。NBCe1-B電流は25mM HCO3-を含みNa-glutamateに富む溶液で細胞外を潅流することにより惹起した。その結果、異なる2種類の細胞内pH条件下におけるホールセル電流密度に差は観察されなかったが、興味深かいことにNBCe1-Bの細胞内遊離Mg2+による抑制作用に違いがある可能性が示唆された。これらの結果は、今回実験条件として採用したpH範囲内では細胞内H+それ自身はNBCe1-B活性に影響せず、むしろ細胞内Mg2+による調節機構のどこかに作用している可能性が考えられた。今後、細胞内pH条件の範囲をさらに広げ比較検討するとともに、細胞内Mg2+によるNBCe1-B機能調節に関する分子機構についてさらに研究を進め、共輸送体機能調節の多様性解明に向けてアプローチしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
25年度は大学の業務(獣医学教育を含む)の他に、本研究プロジェクトの展開にも関連性がある研究論文の執筆、投稿、出版に予定以上の時間を費やした。しかし、一方でNBCe1-B活性を異所性に一過性強制発現するHEK293細胞を実験系として行った細胞内pHによるNBCe1-B機能に対する効果に関する実験では非常に興味深い研究結果が得られたのは大きな収穫であった。当初計画していた細胞内因子による調節に関与する分子領域の決定に関する実験の準備・予備検討の進展が予定より遅れている。従って、研究目的の達成度としてはプラス面はあるものの遅れていると厳しく自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
哺乳動物細胞に異種性一過性強制発現させたNBCe1-Bの細胞内Mg感受性が細胞内pHにより影響を受ける可能性が示唆されてたので、さらに細胞内pHの実験条件を広げその効果を詳細に検討する。また、同時に細胞内Mg感受性や細胞内pHの影響に関係する詳細な分子領域の決定に関する検討を加速させるとともに、ウシ耳下腺腺房細胞に内因性に発現するNBCe1-Bの細胞内pHによるMg2+感受性の変化とも対比しながらプロジェクトを総合的に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
NBCe1-Bの細胞内Mg感受性および細胞内pHによるMg感受性の調節に関与する分子領域の決定に関する検討が予定より遅れたので、当初の予定より主に分子生物学的な試薬等の購入費が次年度使用額として残った。 これらは主に次年度の分子生物学実験に必要なキットや試薬の購入にあてる予定である。26年度分として請求した助成金は分子生物学・電気生理学実験および解析遂行および論文発表に向けて必要な物品(キットや試薬等の消耗品等を含む)を無駄なく有効的に活用する。
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