2012 Fiscal Year Research-status Report
Na‐Kポンプによるグルコース感受性NPY神経・摂食行動の制御と過食・肥満の成因
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24659101
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 正範 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10305120)
前島 裕子 自治医科大学, 医学部, 助教 (40438669)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 弓状核 / グルコース感受性ニューロン / Na,K-ATPase / 食欲 / Neuropeptide Y / Caチャネル |
Research Abstract |
空腹時にグルコース濃度(血糖値)低下により活性化される視床下部グルコース感受性ニューロン(GSN)による摂食亢進が示唆されている。本研究では、Na,K-ATPase(NKA)が低グルコースによるGSN活性化を仲介するか、さらには摂食行動を制御するかを検証する。 1.低グルコースによる弓状核GSN活性化のNa,K-ATPase(NKA)による仲介:(1)ラット視床下部弓状核からニューロンを単離し、細胞内Na+濃度([Na+])を蛍光指示薬SBFIを用いて測定し、低グルコースが[Na+]を増加させることを明らかにした。また低グルコースにより[Ca2+]増加を示したニューロンをGSNと定義した。(2)この[Na+]増加はNKA活性化剤SSA412により阻害された。(3)高グルコース存在下にあってもグルコース代謝阻害剤Mannoheptuloseにより[Na+]増加、[Ca2+]増加が起った。 2.低グルコース・NKA抑制による[Ca2+]増加の機序:低グルコースによる[Ca2+]増加が電位依存性L型、N型Caチャネル阻害剤により抑制された。 3.脳内の低グルコース・NKA抑制による摂食行動: (1)脳室内NKA阻害剤(ウワバイン)投与により、摂食が亢進した。(2)NKA阻害剤ウワバインにより[Ca2+]増加を示すニューロンの多くがNPYを含有することを、[Ca2+]測定後の免疫染色により明らかにした。 以上の結果より、低グルコースは代謝を介してNKAを抑制し、電位依存性L型、N型Caチャネルを介して[Ca2+]を増加し、GSNを活性化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の半数以上で既に十分の結果を得て結論が得られた。それ以外の計画について、低グルコースにより細胞内NAD(P)Hが低下するか?、脳室内ウワバイン投与によりNPY発現が亢進するか?の実験はすでに開始して予備的結果が得られており順調に進んでいる。一方、ラットの脳室内にグルコース代謝阻害剤を投与して摂食が亢進するか、この摂食亢進が脳室内NKA活性化剤投与により抑制されるかの実験に関しては、脳室内に投与できる副作用の少ないグルコース代謝阻害剤の入手が出来ず、まだ着手していない。そこで、替わりに絶食条件での実験を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)絶食下vs.自由摂食下のラットから摂食調節神経核を単離し、ATP加水分解反応によりNKA活性を測定し、絶食のNKA活性への影響を調べる。 (2)さらに、絶食による弓状核NKA活性低下の分子機序を調べる。候補機序として、ATP濃度低下、NKAのリン酸化などの生化学的修飾を検討する。(3) 過食を示す2型糖尿病モデルGoto-Kakizaki(GK)ラットの弓状核ニューロンの[Ca2+]測定系で、GSニューロンの低グルコース応答が亢進しているか、または、高グルコースによる抑制が低下しているかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に計画していた、ラットの脳室内にグルコース代謝阻害剤を投与して起る摂食亢進が脳室内NKA活性化剤投与により抑制されるかの実験に関しては、脳室内に投与できる副作用の少ないグルコース代謝阻害剤の入手が出来ず、着手していない。この替わりに、平成25年度に、絶食により起る摂食亢進が脳室内NKA活性化剤投与により抑制されるかの実験を計画している。
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Research Products
(12 results)