2013 Fiscal Year Annual Research Report
Na‐Kポンプによるグルコース感受性NPY神経・摂食行動の制御と過食・肥満の成因
Project/Area Number |
24659101
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 正範 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10305120)
前島 裕子 自治医科大学, 医学部, 助教 (40438669)
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Keywords | 弓状核 / グルコース感受性ニューロン / Na,K-ATPase / 食欲 / Neuropeptide Y / 細胞内代謝 / カルシウム / ウワバイン |
Research Abstract |
グルコース感受性ニューロン(GSN)は、低濃度グルコースにより活性化され高グルコースで抑制されるニューロンであり、視床下部弓状核などに局在し、空腹時に活性化され摂食を亢進する役割が想定されている。しかし、グルコース濃度低下を神経細胞興奮に転換する分子機構には不明な点が多く、本研究でNa,K-ATPase(NKA)=Na,K ポンプの役割を検証した。NKA活性低下は細胞内Na+濃度([Na+])増加で判定し、細胞活性化は細胞内Ca2+濃度([Ca2+])増加で判定した。応答した細胞の神経伝達物質を免疫染色で同定した。 1.低グルコースによるNKA抑制とその作用機序:①ラット弓状核から単離したGSNにおいて、低グルコースは[Na+]を増加させ、この[Na+]増加はNKA活性化剤SSA412により阻害された。②低グルコースは細胞内NAD(P)Hレベルを低下させた。③高グルコース存在下にあってもグルコース代謝阻害剤は[Na+]増加、[Ca2+]増加を惹起した。以上より、GSNにおいて低グルコースは細胞内代謝低下を介してNKAを抑制し、細胞を活性化することを明らかにした。 2.NKA抑制による摂食亢進とそのNPYおよびAgRP依存性:①NKA阻害剤(ウワバイン)の弓状核への局所投与により、摂食が亢進し、弓状核NPY発現が亢進した。②単離した弓状核GSNにおいて、ウワバイン添加は[Ca2+]増加を惹起し、 [Ca2+]増加を示した細胞の多くがNPY・AgRPニューロンであった。③ウワバイン投与による摂食亢進はNPY受容体拮抗薬により阻害された。以上より、弓状核のNKA抑制はNPY/AgRPニューロン活性化を介して摂食を亢進することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)