2012 Fiscal Year Research-status Report
破骨細胞を標的にしたエピゲノム創薬に資する分子基盤の確立
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24659115
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 恵三 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (30516290)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / エピジェネティクス / 転写因子 / 転写制御 / 細胞内代謝 / メタボライト / SAM / DNAメチル化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、破骨細胞の分化・成熟過程にかかわるエピジェネティクス制御機構を明らかにすることである。本年度では、メチル基転移酵素のfloxマウスと破骨細胞特異的にCreを発現する系統Ctsk-CreおよびRank-Creマウスを交配することで、破骨細胞特異的にメチル基転移酵素を欠損した遺伝子改変マウスの作出を行った。当該マウスの骨組織を用いて、メチル基転移酵の欠損が及ぼす骨量への影響をマイクロCTによって検討した結果、顕著な海綿骨量の増加が観察された。さらに、骨形態計測の解析の結果から、破骨細胞の形成、並びに骨吸収窩の減少によって、これらの表現型が生じることが示された。 次に、破骨細胞におけるメチル基転移酵素の役割を、細胞レベルで明らかにするために、メチル基転移酵素欠損マウス由来の骨髄細胞を用いて、破骨細胞分化の初代培養を実施した。その結果、メチル基転移酵素の欠損によって、破骨細胞分化、並びに骨吸収能が低下することが明らかとなった。以上の結果から、メチル基転移酵素が、細胞自律的に破骨細胞分化に重要な機能を有することが示唆される。現在、メチル基転移酵素がもつ役割を、分子レベルで明らかにするために、メチル基転移酵素が欠損した破骨細胞のトランスクリプトームデータの解析に従事している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請計画に記載した目標通り、エピジェネティクス制御因子の重要性を、生体レベルで明らかにした。さらに、次年度に向けた分子レベルでの解析に必要不可欠なトランスクリプトームデータの解析にも着手しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
メチル基転移酵素が欠損した破骨細胞のトランスクリプトームデータ、並びに、エピゲノムに関する網羅解析データを取得することで、破骨細胞分化で担うメチル基転移酵素の役割を、分子レベルで明らかにしていく。そして、明らかとなった分子機構から、エピジェネティクス制御機構を標的とした破骨細胞分化の阻害法を検討することで、『破骨細胞のエピゲノム創薬』という新規の創薬アプローチに資する分子基盤の確立を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
破骨細胞の初代培養には、高価なサイトカインやロット指定の血清などが必要となるために、物品費として、細胞培養に要する経費及びその解析試薬を中心に計上する。ChIP-seq解析委託費、MeDIP-chip解析委託費、マイクロアレイ実験委託費およびマウスの骨組織解析に必要となるクレハ分析センターへの委託費として一部謝金として計上する予定である。さらに、現在、本科研費の支援によって生み出された成果を、論文として発表準備中であり、本年度では、論投稿にかかる費用も一部計上する予定である。
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