2013 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞を標的にしたエピゲノム創薬に資する分子基盤の確立
Project/Area Number |
24659115
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 恵三 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (30516290)
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Keywords | 破骨細胞 / エピジェネティクス / 転写因子 / 転写制御 / SAM / 細胞内代謝 / メタボライト / DNAメチル化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、破骨細胞の分化・成熟過程にかかわるエピジェネティクス制御機構を明らかにし、骨代謝疾患の治療を可能にする新たな分子標的を同定することにある。昨年度、作出に成功した破骨細胞特異的にメチル基転移酵素を欠損したマウスは、骨量の増加を呈することが明らかとなった。さらに、骨形態計測による詳細な解析の結果から、メチル基転移酵素を欠損したマウスの骨表現型は、破骨細胞の形成、並びに骨吸収窩の減少によって生じることが明らかとなった。これらの結果は、メチル基転移酵素を介して破骨細胞の活性を阻害することで、破骨細胞の異常な活性化によって引き起こされる骨粗鬆症を治療できることが予想される。そこで、本年度は、メチル基転移酵素の阻害剤が、骨粗鬆症の治療に有用であるかの検討を行った。これまでの研究によると、メチル基転移酵素の活性を阻害する化合物は、RG108、EGCGとTF3の3種類が同定されている。メチル基転移酵素と化合物のドッキングシュミレーションを実施した結果、TF3が破骨細胞で高発現するメチル基転移酵素に強く結合することが明らかとなった。そこで、卵巣摘出マウスによる閉経後骨粗鬆症モデルに対して、TF3の投与実験を行った。その結果、TF3を3週間投与したところ、卵巣摘出マウスの骨量低下が有為に改善されることが明らかとなった。本研究で得られた成果は、破骨細胞のエピジェネティクス制御が治療標的となることを世界で初めて示すものであり、破骨細胞が原因となる骨代謝疾患に対して、エピゲノム創薬の有用性を明らかにした。
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Research Products
(6 results)