2013 Fiscal Year Annual Research Report
視細胞を守護する網膜色素上皮細胞の恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
24659123
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴原 茂樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00154253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 和久 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30311559)
古山 和道 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80280874)
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Keywords | 網膜色素上皮 / 転写因子 / メラニン / L1エレメント / MITF / 生体防御 / ストレス応答 |
Research Abstract |
我が国における成人失明の主要な原因疾患は糖尿病性網膜症と加齡に伴う網膜変性症であり、それらの病態には網膜色素上皮細胞(RPE)の機能障害が関与する。小眼球症関連転写因子Mitfは神経堤由来であるメラノブラストと脳由来のRPEの分化に必須であり、アミノ末端が異なる複数のアイソフォームから構成される。Mitfの変異マウス(black-eyed white, bw) では、Mitf遺伝子のイントロン内へのL1エレメント (レトロトランスポゾン)の挿入があり、選択的にメラノサイト特異的なMitf-Mの発現低下をきたすが、RPEで機能する他のアイソフォームの発現は維持される。その結果、白い体毛を呈するが、網膜は一見正常である。 1) 脳におけるMitf発現神経細胞の探索:bwマウスの回避行動の解析により、bwマウスでは、ストレスに満ちた環境に対する感受性あるいは恐怖感の程度が低いと推定された。そこで、新規に作製した抗Mitf抗体を用いて、野生型マウス脳におけるMitf発現神経細胞を同定した。 2) ヒトRPE細胞の恒常性維持機構の解析:二種類のヒトRPE細胞株(ARPE-19とD407)と市販されている正常ヒトRPE細胞を用いて、発現するMITFアイソフォームを解析した。その結果、ARPE-19と正常ヒトRPE細胞は主にMITF-Dを発現しているが、D407細胞は分子量の大きいMITF-AあるいはMITF-Hを発現していることが示唆された。さらに、網膜形成に重要なWntシグナルのMITFアイソフォームの発現への関与を検討するため、Wntシグナル伝達系のβ-カテニンの発現などを比較検討した。その結果、D407細胞と比較して、ARPE-19と正常ヒトRPE細胞ではWntシグナル伝達系が優位であることが判明した。よって、MITF-Dの発現にはWntシグナルが関与することが示唆された。
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Research Products
(3 results)