2012 Fiscal Year Research-status Report
ホスファチジルグリセロールリン酸結合タンパク質の探索
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24659124
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高須賀 俊輔 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90375262)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リン脂質 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
申請者は、ホスファチジルグリセロールリン酸の分解酵素遺伝子をin vitroの酵素活性を指標とした独自のスクリーニングにより発見した。さらに、その中の1分子の遺伝子欠損マウスを作製することで、ホスファチジルグリセロールリン酸が過剰に蓄積する状況を生体内に作り出すことに成功した。その結果、単にカルジオリピン生合成経路における代謝中間体としての役割しか考えられてこなかったリン脂質であるホスファチジルグリセロールリン酸の生理機能につながる興味深い表現型(ミトコンドリアの形態異常)を見出すに至った。本研究では、ホスファチジルグリセロールリン酸結合タンパク質を同定し、その機能を解析することを目的とし、初年度は以下の研究を行った。 ホスファチジルグリセロールリン酸に結合するタンパク質の同定を目的として、 マウス肝臓ミトコンドリア画分を用いて、ホスファチジルグリセロールリン酸に対する結合能を指標にタンパク質の精製を試みた。その結果、ホスファチジルグリセロールリン酸に対する結合能の評価系に関して問題があることが明らかになった。そこで、結合能の評価系のブラッシュアップを行った。加えて、ホスファチジルグリセロールリン酸結合タンパク質の結合タンパク質の探索のため、既知のイノシトールリン脂質結合ドメイン(FYVE, PX, PH, PHD, ENTH, GRAM等)を有する分子群のcDNAクローニングを行い、発現ベクターを構築することで結合候補タンパク質のライブラリを作製した。 次年度以降、ホスファチジルグリセロールリン酸結合タンパク質を同定することで、ホスファチジルグリセロールリン酸によるミトコンドリアの形態制御機構を明らかにできることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度においては、まず本研究においてプローブとして利用する放射性同位体(14C)標識のホスファチジルグリセロールリン酸を、生化学的に高効率で作成する方法を確立した。具体的にはマウス由来ホスファチジルグリセロールリン酸シンターゼ-1のcDNAをクローニングし、FLAGタグを付加した発現ベクターを用いてHeLa細胞に遺伝子導入し、細胞を可溶化後に抗FLAG M2抗体アガロース樹脂を用いたアフィニティ精製を行うことで合成酵素を調製し、基質となるCDP-ジアシルグリセロールと放射性同位体(14C)標識グリセロール3リン酸を加えて反応を行うことで、プローブを調製した。次にこのプローブを用いて、マウス肝ミトコンドリア画分からのホスファチジルグリセロールリン酸結合タンパク質の精製の精製を試みた。しかし初年度中には、本研究の目的であるホスファチジルグリセロールリン酸結合タンパク質の同定には至らなかった。その主な原因としては、精製の過程で、ホスファチジルグリセロールリン酸に対する結合能の評価系に関して、再現性のある結果が得にくかったことが挙げられる。そこで新たに、ホスファチジルグリセロールリン酸結合能の評価系のブラッシュアップを行った。また、ホスファチジルグリセロールリン酸結合候補タンパク質の発現ライブラリの作製においては、当初の計画通りに遂行することができた。これらの結果から、次年度以降のホスファチジルグリセロールリン酸結合タンパク質の同定につながる成果を得ることができたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究実施状況はおおむね順調に進展している。そこで申請時の研究計画に従って、初年度の予定を完遂すると共に、次年度の研究計画を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Critical roles of type III phosphatidylinositol phosphate kinase in murine embryonic visceral endoderm and adult intestine.2013
Author(s)
Takasuga S, Horie Y, Sasaki J, Sun-Wada GH, Kawamura N, Yamazaki M, Kontani K, Harada A, Katada T, Suzuki A, Wada Y, Ohnishi H, Sasaki T. et.al
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A.
Volume: 110
Pages: 1726-1731
DOI
Peer Reviewed
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