2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 泰身 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50327665)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | NF-kB / エピゲノム / 遺伝子発現 / 胸腺 / 細胞分化 |
Research Abstract |
NF-kBファミリーは細胞増殖、細胞死、炎症などを多彩な生命現象を制御するシグナル誘導型の転写因子であり、配列特異的にDNAに結合して遺伝子転写を誘導することが知られている。NF-kBファミリーの中でRelBは、様々なリンパ組織を形成する細胞の分化に必須である。本課題では、自己免疫寛容の誘導に必須な胸腺髄質上皮細胞を研究材料として選び、分化シグナルに依存したRelBの核移行によるエピゲノム状態の制御と遺伝子発現の誘導の関連について立証することを最終目的としており、RelB、NF-kBファミリーによる遺伝子発現制御に関する新しい概念を提唱すること、自己免疫疾患を制御する遺伝子発現制御機構を解明することに特色と意義がある。 その目的を達成するために、RelBの遺伝子座を、TagおよびEGFPを融合したRelBに置き換えたノックインマウスを作成した。Tag-RelBノックインマウスは、両アリルをTag-RelBに置き換えたホモマウスでも、野生型と表現型に違いが無いことより、Tag-RelBはRelBの機能を維持している結論した。また本研究の研究材料である胸腺髄質上皮細胞でTag付きRelBの発現を確認できた。一方で、RelBが機能する髄質上皮細胞の分化段階を、RelB欠損マウスを用いて検討したところ、分化の早期段階を制御していることが判明した。そこで、RelBが機能する髄質上皮細胞を特定し、その細胞画分を効率よく分取する方法を検討した。一方、胸腺髄質上皮細胞の分化によりメチル化状態が変化するDNA領域を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では、自己免疫寛容に必須な胸腺髄質上皮細胞の中でもRelBが機能する細胞の分取が必須である。最近の知見で、RelBは特定の細胞画分で機能することが判明し、それらの画分を効率よく分取するための方法確立に時間を要しており、研究の遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に得られた成果をもとに、胎仔胸腺からRelB陽性の髄質上皮細胞を分取し、RelBに結合するDNA配列と結合タンパク質を同定する。また昨年度同定した髄質上皮細胞の分化に伴いメチル化が変化する領域にRelBが結合しているのかの検証も合わせて推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では、昨年度に行うことのできなかったDNA結合配列や結合タンパク質の同定に費用を要する。加えて同定した結合配列のエピゲノム状態を検討および結合タンパク質の検証を行う予定である。また昨年度に得たDNAメチル化の情報に基づき、RelB結合に関して検討する。昨年度未使用額と合わせた費用でこれらの実験を行う予定である。
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