2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト一倍体細胞を用いた新規スクリーニング法による貪食関連因子の網羅的探索
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24659134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬川 勝盛 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20542971)
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Keywords | ヒト一倍体細胞 / 順遺伝学 / 貪食 / マクロファージ / 細胞死 |
Research Abstract |
マクロファージなどの貪食細胞は、死細胞を貪食するが生細胞を貪食することはない。この生細胞と死細胞の認識は、生体内のホメオスタシスの維持に重要な機構である。死細胞は、本来細胞膜の内側に保持されているフォスファチジルセリン(PS)を細胞膜外に露出することで、食細胞に認識され貪食・クリアランスされることが知られている。このことからPS露出は生細胞と死細胞を区別する典型的なEat-meシグナルと考えられてきた。しかしながら、PS露出それ単独で認識や貪食に十分であるかはいまだ結論がでていない。 本年度では、Haploid genetic screenと呼ばれる新しいスクリーニング法を用いて、生細胞がどのように膜の非対称性を維持しているかをゲノムワイドに探索し、二つの膜非対称性の維持に重要な因子を同定した。この遺伝子を欠損した細胞は、膜の非対称性を維持する事ができず、PSを細胞膜表面に強く露出していた。PS露出細胞は、その増殖やサイトカインに対する反応に大きな変化は認められなかったが、マウスマクロファージに生きながらに貪食された。興味深いことに、生きながらに貪食された細胞の大半はマクロファージ内部で分解されるが、一部の細胞は、分解される前にマクロファージより脱出するという現象を見いだした。また、これらの遺伝子の制御は、死細胞がマクロファージに認識されるのにも重要であることが明らかとなった。従って、今回の研究で同定された因子によるPS露出制御は、細胞貪食の必要十分条件であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト一倍体細胞を用いた機能スクーリにングを行い、本研究の目標の一つであった細胞貪食の十分条件を見いだすことができた。また、この貪食の十分条件は、死細胞が貪食される上での、必要条件でもあった。以上より、申請書に記載したとおり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、ヒト一倍体マクロファージの樹立、およびそれを用いたゲノムワイドスクリーニングも目指してる。今後、ヒト一倍体マクロファージの樹立を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度にて購入した分子生物学的実験の物品が継続使用できたため。 細胞培養消耗品の購入やFACS関連消耗品、および実験動物の購入など
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