2014 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素センサーPHD2によるCori回路の新規活性化メカニズムの解明
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24659154
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笠原 正貴 慶應義塾大学, 医学部, 講師(非常勤) (30328265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南嶋 洋司 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20593966)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 低酸素 / PHD2 / エネルギー代謝 / Cori回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年度に作製したマウス・トレッドミル運動負荷による ‘‘生理的乳酸負荷モデル’’ を用いて、肝細胞特異的に低酸素応答を活性化させたPhd2ノックアウトマウス(Phd2 flox/flox; albmin-Cre)群と対照群(Phd2 +/+; albmin-Cre)を比較した結果、Phd2ノックアウトマウス(PHD2LKO)群は、対照群よりも長く走ることができ、運動後の血中乳酸濃度が低く、乳酸を腹腔内投与した後の血中乳酸濃度も低かった。さらに、致死量の乳酸を腹腔内投与した後の生存時間はPHD2LKO群の方が有意に長かった。以上から、PHD2LKO群は、対照群に比べて運動負荷時あるいは乳酸負荷時に乳酸処理能力が高い可能性があることがわかった。そこで、肝細胞特異的に低酸素応答を活性化させたPHD2LKOにおいては、増加した乳酸の肝臓への取り込み、代謝(糖新生)が活性化しているという仮説を立て、以下の項目について検討した。 1.肝臓においてHIFで活性化された反応を明らかにするために、代謝反応に関わる酵素群の発現量をReal-time RT-PCRで評価した。2.肝臓で糖新生が行われていることを証明するために、13C3-Lactate投与後に放出される、ラベル化されたGlucoseをLC/MSで解析した。そのために肝細胞初代培養実験系を確立した。3.13C3-Lactateを腹腔内投与後に、肝臓を摘出し、ラベル化された中間体謝産物をCE/MSで解析した。 結果1:MCT2、GLUT2、LDHA、PEPCKなどの糖新生に関わる担体・酵素は、PHD2LKO群の肝臓で多く発現していた。結果2:13C3-Lactate腹腔内投与後の血漿ラベル体glucose濃度は、Phd2ノックアウトマウス群の方が高かった。結果3:初代培養した肝細胞においてPHD2LKO群では乳酸の細胞内取り込みと代謝が活性化されていた。以上から、in vivo、in vitroともに肝特異的な低酸素応答を介して乳酸代謝が亢進し、乳酸クリアランスが高まる。またその機序として糖新生経路の活性化が示唆された。
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