2012 Fiscal Year Annual Research Report
OSNA残余検体を用いた乳癌リンパ節転移巣における遺伝子発現解析
Project/Area Number |
24659164
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
梅北 善久 鳥取大学, 医学部, 教授 (80244226)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 乳癌 / センチネルリンパ節 / 非センチネルリンパ節 / maspin |
Research Abstract |
原発性乳癌の手術中に、センチネルリンパ節(SLN)転移の有無をより客観的に解析し得る検査法であるone-step nuclear amplification (OSNA)法が近年導入された。解析後の残余検体を使用し、SLN転移巣における特定の遺伝子の発現を解析する手法を確立した。今回、リンパ節ではmRNAが発現しておらず、悪性度の高い乳癌原発巣において有意に発現しているmaspin という分子に着目した。OSNA;0(陰性コントロール)5例、OSNA;1+(2mm以下のリンパ節微小転移に相当)34例とOSNA;2+(2mmを超えるリンパ節転移巣に相当)59例のOSNA残余検体より、total RNAを抽出し、cDNAを合成後、maspin プローブを用いてリアルタイム定量PCR解析を行った。予め、4種類のヒト乳癌培養細胞を用いて、同様の解析を行い、MCF-7での解析結果を検量線作成用に使用した。SLN転移巣において、maspin mRNAの発現は46例(49.5%)に認められ、年齢、病理学的腫瘍径、リンパ管侵襲、組織異型度、エストロゲン受容体発現及びHER2過剰発現との有意な相関は見られなかった。maspin mRNAはOSNA2+に有意に発現が多く(p<0.0001)、非SLN転移が有意に多く認められた(p<0.0001)。非SLN転移の有無に関する多変量解析を施行した結果、maspin mRNA発現は、リンパ管侵襲及び病理学的腫瘍径とともに独立した予測因子であった(p=0.0015)。また、SLN転移巣におけるmaspin mRNAの発現は原発巣におけるmaspin蛋白の発現と有意に相関した(p<0.0001)。以上の結果より、OSNA法施行後の残余検体を用いたmaspin遺伝子の発現解析は非SLN転移を予測する上で有効な方法と成りえる可能性が示唆された。
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