2013 Fiscal Year Annual Research Report
「ヒトパピローマウイルスの病理学」に基づいたヒト体性幹細胞の寿命制御
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24659168
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
宇山 太郎 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 研究員 (60232914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70213486)
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Keywords | 再生医療 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 寿命延長 / ヒトパピローマウイルス |
Research Abstract |
本研究はヒト骨髄間葉系幹細胞の寿命を腫瘍化させずに延長させる実験系を用いた。目的の達成にはヒトパピローマウイルスの系を用いた。ヒトパピローマウイルスの部分構造遺伝子であるE6はテロメラーゼを活性化し、p53を分解誘導することによりアポトーシス、G 1 arrestを回避することができる。ヒトパピローマウイルスのE7はRBファミリー (RB, p107, p130) と結合して、p16 Ink4a増加に伴ってリン酸化が阻害されたRbをリン酸化してE2F放出を可能にして細胞を不死化した。具体的にはヒト骨髄間葉系幹細胞にヒトパピローマウイルスのE6、E7、ポリコウム遺伝子群のBmi-1およびhTERTのコンストラクトをレトロウイルスにより遺伝子導入し、寿命の延長を行った。細胞寿命の制御に関わる経路として大きく二つが考えられており、一つはテロメアの短縮に伴い、ataxia telangiectasia mutated (ATM) が活性化され、それに伴ってATMの下流に位置する癌抑制遺伝子としてよく知られているp53、さらに下流のp21も活性化され、さらにp21はサイクリンDを不活性化して、RBのリン酸化(活性化)が阻害されて、細胞は増殖しなくなることが古くから知られている。これは細胞寿命制御に関わる一つの経路として「テロメア/p53経路」と呼ばれている。もう一つはINK4ファミリーの一つであるp16タンパクの蓄積によりサイクリンDが不活性化され、上で述べたテロメア/p53経路同様、RBのリン酸化(活性化)が阻害されて、細胞は増殖しなくなることが近年明らかにされており、これは「p16/RB経路」と細胞寿命制御に関わるもう一つの経路として重要である。
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