2012 Fiscal Year Research-status Report
長鎖非翻訳RNAに注目したT細胞アナジー制御機構解析の新展開
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24659172
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
香城 諭 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (70360542)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アナジー |
Research Abstract |
免疫細胞(T細胞)のアナジー(無応答)化は、炎症反応収束に寄与する機構の一つとして極めて重要である。しかし、その制御に関する細胞内分子機構については未だ詳細が明らかとなっていない。本研究は、近年細胞機能制御において重要な役割を担うことが報告された長鎖非翻訳RNA(lncRNA)に注目し、アナジー制御におけるその役割を明らかにすることを目的とし検討を加える。 Th1細胞を対象としイオノマイシン刺激にてアナジー誘導を試みた。アナジー化の指標として、①IFNγの産生抑制、②アナジー制御因子Cbl-bの発現上昇をモニタリングし、IFNγが抑制されCbl-bを高発現する条件をアナジーと定義した。以上のアナジー状態において発現が変動するlncRNAを確認するために、DNAマイクロアレイ(Agilent社 SurePrintG3)を用いて発現変動を確認した。なお、アナジー誘導刺激の強弱、誘導後の時間的変動を確認するために、4種類のイオノマイシン濃度を採用し、経時的にサンプリングし試料となるRNAを抽出した。 DNAマイクロアレイ解析の結果、イオノマイシン刺激によって上昇するlncRNAを55種類、減少するlncRNAを12種類同定した。イオノマイシン刺激によってのみ変動を生じるlncRNAを抽出するため、PMA刺激・T細胞受容体刺激による変動も確認した結果、上昇lncRNAが27種類、減少lncRNAが4種類存在することを見出した。 上昇lncRNAに対し、RNAiを用いた遺伝子ノックダウン系の構築を試みた。理化学研究所より導入したCS-RfA-EG shRNA発現レンチウイルスベクターを使用し、Th1細胞へのshRNA導入系を構築した。また、レトロウイルスベクターを用いたlncRNA強制発現系も構築した。これらを用いてアナジー制御に寄与するlncRNAのスクリーニングを実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に実施予定としていた検討課題である①アナジー誘導によるlncRNA発現解析(DNAマイクロアレイ解析、定量PCR解析)は順調に終了し、第2の検討課題である②アナジー制御性lncRNAの同定(強制発現、ノックダウン)へ移行している。②に関しては24年度~25年度にかけて実施予定としていたため、現状を研究計画と照らしあわせて鑑みるにおおむね順調に進展していると判断可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通りに本研究課題を推進する。アナジー誘導に際するlncRNA変動解析の結果、合計31種類と多数の候補lncRNAが抽出されたため、shRNA発現ベクターの構築、lncRNA発現ベクターの構築に労力を集中する必要がある。25年度に新しく教室に配属された大学院生3名を集中的に本業務に配置し、推進の停滞を防ぐ予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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