2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化マウスを用いた移植片対宿主病(GVHD)に対する新規分子標的療法の開発
Project/Area Number |
24659176
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渋谷 和子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00302406)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 分子標的 / 移植片対宿主病 / 骨髄移植 / ヒト化マウス / 免疫応答制御 |
Research Abstract |
近年注目されている分子標的療法のひとつに抗体療法がある。標的分子の探索とそれに対する抗体療法の検討には、通常マウスモデルが利用されるが、抗マウス抗体と抗ヒト抗体のエピトープやFcの差異などにより、マウスで観察した治療効果が必ずしもヒトで認められるとは限らない。最近開発されたヒト化マウスは、免疫不全マウス体内でヒトの造血系を再構築したマウスで、抗ヒト抗体の効果を検討するのに極めて有用である。しかし、造血系だけがヒト化されているため、急性GVHDなどの臓器障害に対する治療効果については検討できない。本研究では、急性GVHDの新規抗体療法を検討するために、新たに遺伝子を導入したヒト化マウスを作製し、ヒトの急性GVHDの免疫応答を再現出来る系を確立する。さらに、この系を利用して、私達がマウスの系で急性GVHD病態との関連を見いだしたDNAM-1に対する抗体療法の治療効果を検討する。 本プロジェクトは、(1)マウスの作製、(2)抗ヒトDNAM-1抗体の作製、(3)疾患モデルマウスを使用して、抗ヒトDNAM-1抗体のGVHD治療効果を観察の3段階から成る。 現在、ヒトCD155トランスジェニックマウスをNODマウスに戻し交配している。今後は、これを用いて、ヒトCD155, HLA-A.2発現複合型免疫不全マウスを作製する予定である。また、抗ヒトDNAM-1抗体作製のため、マウスにヒトDNAM-1蛋白を免疫し、抗体産生ハイブリドーマ107クローンを得た。マウス作製後は、ヒトCD155, HLA-A.2発現ヒト化マウスにHLA不適合移植を行い、ヒト型急性GVHDを惹起し、マウス体内でヒト型急性GVHD免疫応答を観察できる系を確立する。また、ヒト型急性GVHDを発症したマウスに抗ヒトDNAM-1抗体を投与し、その治療効果を観察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの作製は、当初のスケジュール通り順調にヒトCD155トランスジェニックマウスをNODマウスに戻し交配している。戻し交配終了後は、ヒトCD155, HLA-A.2発現複合型免疫不全マウスを作製する予定である。 抗ヒトDNAM-1抗体は、予想をはるかに超えて抗体産生ハイブリドーマ107クローンを得ることができた。これらのハイブリドーマより、抗体を精製し、来年度の実験に使用する。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、NODマウスに戻し交配を終了したヒトCD155トランスジェニックマウスとHLA-A.2トランスジェニック複合型免疫不全マウスを交配し、ヒトCD155, HLA-A.2発現複合型免疫不全マウスを作製する。このマウスにヒト臍帯血移植をし、ヒトCD155, HLA-A.2発現ヒト化マウスを作製する。さらに、作製したヒトCD155, HLA-A.2発現ヒト化マウスにHLA不適合移植を行い、ヒト型急性GVHDを惹起し、マウス体内でヒト型急性GVHD免疫応答を観察できる系を確立する。また、ヒト型急性GVHDを発症したマウスに、今年度作製した抗ヒトDNAM-1抗体を投与し、その治療効果を観察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(20 results)