2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
根岸 英雄 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60514297)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 核酸 / 炎症 |
Research Abstract |
1.ビオチン化化合物を用いて、免疫性核酸複合体に含まれる核酸を同定する。 ビオチン化化合物に結合する核酸について、Mass 解析による同定を試みたが、化合物から核酸を引きはがす際のbuffer条件がMass解析に適しておらず、精度の良いMass解析は出来なかった。そのため、「特殊な核酸構造があるとすれば、その構造を生み出す酵素が結合するための特異的な配列構造が存在するのではないか」という考えのもと、化合物に結合する核酸の網羅シーケンス解析を行った。シーケンスを行う前に、核酸の性質を解析したところ、核酸はRNAであり、サイズが100~300塩基前後である事が分かり、一本差および二本差の両方の構造を持つ事を示唆する結果も得られた。そのため、化合物に結合するRNAの網羅シーケンスを行いシーケンスは成功した。シーケンスの結果から、治療効果のある化合物に特異的に結合するRNAが既知遺伝子だけでも数十種類同定された。中でもある種のnon-coding RNAが多量に検出され、これこそが免疫性核酸の本体である可能性が示唆された。 2.ビオチン化化合物 を用いて、免疫性核酸複合体に含まれる蛋白を同定する。 当初の仮説に従い、治療効果のない化合物と結合したタンパク群の中で特に興味深いもの12個を選び、発現ベクター、siRNAを作成した。これらを用いて、候補遺伝子の過剰発現およびノックダウンを行い、死細胞の免疫性を検証したところ、免疫性に関わるタンパクを1つ同定する事に成功した。このタンパクは免疫性との関連は全く報告がないが、RNA結合タンパクであり、1.の検討で同定したnon-coing-RNAと結合する事が報告されている事から、本年度の検討によって免疫性核酸複合体の核酸、タンパクの双方の同定に成功した可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった免疫性核酸の核酸構造の決定には至っていないが、候補となるnon-coding RNAの同定に成功している。また、免疫性核酸複合体に含まれるタンパクの解析についても、死細胞の免疫性を制御するRNA結合タンパクの同定に成功している。これらのnon-coding RNAとタンパクは複合体を作る事が報告されていることから、この複合体が免疫性核酸複合体の本体である可能性が高い。死細胞の免疫性とこの複合体との関連は今まで報告されておらず、新しい発見である。このような理由から、本研究は研究の進展状況にうまく対応しながら、検討内容を適切に変更し、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
治療効果のある化合物に結合する核酸の配列情報から、さらに保存された配列を同定するとともに、すでに同定されたnon-coding RNAの構造中のどの部分が免疫性に重要であるかを明らかにする。この配列、構造を人工合成し、核酸の免疫性が再現できるか、この時に同定したタンパクが必要かどうか検証する。このnon-coding RNAは免疫性との関連は全く不明であるものの、自己免疫疾患の患者血清中で検出される事は報告があるため、当初の計画にあった、「自己免疫疾患モデルマウスの血中にこの核酸が含まれるかどうか」については解析を行わない。かわりに、この核酸がどのようにして、免疫応答を活性化するかについて解析を追加する。すなわち、自然免疫応答に関わるパターン認識受容体のうち、どのような経路を活性化するのかを明らかにする。また、免疫性に関わるタンパクについては、トランスジェニックマウスを作成、解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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