2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
根岸 英雄 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (60514297)
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Keywords | 免疫性核酸 / RNA |
Research Abstract |
昨年度の解析結果から得られた免疫性核酸候補について、その免疫性を検証した。まず、化合物が結合する核酸について、結合する量や結合の方法(蛋白を介した関節的な結合もしくは直接的結合)、化合物を使って単離した際の増幅率、治療効果のある化合物とない化合物の間での結合量の差を解析し、これらを総合的に評価したうえで、免疫性核酸候補を10種類前後に絞った。それらの中で検出された絶対量の多い遺伝子から着目し、さらにRNA配列中のどの部分に化合物に結合しているかを解析し、化合物が結合している部分の配列情報を考慮して、最終的に5つのRNA断片に絞り、その修飾も含めて人工的に合成した。FLT3 ligandを用いて骨髄から培養した細胞を応答細胞として解析を行った結果、これらのRNA断片はそのまま細胞に振りかけた際は全く免疫性を持たなかった。一方で、Dotapやlyovecといった核酸導入試薬との混合によって、強く刺激性を発揮する1つのRNA断片の同定に成功した。 また、免疫性核酸複合体に含まれるRNA結合蛋白についてさらに解析を行った。このRNA結合蛋白はファミリーを形成することから、siRNAを用いて、他のファミリー分子についても細胞の免疫性における役割を解析したところ、これらは細胞の免疫性にほとんど寄与しない事が分かった。これらのファミリー蛋白は複合体を形成して機能を発揮するが、それぞれが複合体全体の機能に必要である事が分かっている。そのため、これらのファミリー蛋白が細胞の免疫性に関わらないことから、同定したRNA結合蛋白は、もともと持っている既知の機能とは別の新しい機構によって、細胞の免疫性を制御している事が示唆された。また、このRNA結合蛋白をノックダウウンした細胞は外来の核酸に対する応答も減弱する事が明らかとなり、内在性および外来の両方の核酸の免疫性を制御する興味深い蛋白である事が示唆された。
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