2012 Fiscal Year Research-status Report
ホモ変異体ES細胞バンクを用いた奇形腫形成を起こさない変異体の単離と解析
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24659180
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉村 康秀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60263307)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 再生医療 / テラトーマ / 細胞分化 |
Research Abstract |
従来の複数の変異ES細胞の識別はゲノム改変部位の配列に頼っており、個々の変異細胞ごとに異なるPCR primerが必要で、high-throughput化が困難であった。本申請では、各変異にレトロウイルスで60塩基2セットのバーコードを導入して、それぞれのホモ変異ES細胞をマークした。バーコードの検出にはバーコード両側の共通配列をPCR primerに用いるため、変異細胞をpoolしてもPCRによる増幅が均一になり同時の解析が可能になると予想された。 1.これらの点に関して、次世代シーケンサーによる解析の結果、バーコードラベルしたホモ変異体ES細胞は、その細胞数をリード数で定量的に測定できる事を確認した。 2.さらに、用いた2セットのバーコードの定量性が想像以上に一致しており、本実験系の定量性が担保されたと考えている。 3.また独立して行った分化実験の結果、外胚葉分化、中胚葉分化において異常を示す変異体を見出した。 本研究において、技術的な目標であった多数のホモ変異体ES細胞解析のhigh-throughput化に目処がついた。今年度は、この変異体を中心としてin vivoにおいて約100種類のテラトーマ形成能を調べ、奇形種形成のキーファクターの解明へ繋げる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テラトーマ形成実験から得られるデータを正確かつ有効に活用するため、平成24年度は、まずin vitroの実験系において約100種類のホモ変異体ES細胞の増殖能(doubling time)を調べて4群に分類した。その上で4群それぞれでホモ変異体ES細胞を増殖させ次世代シーケンサーでそのリード数を測定した。この結果、それぞれのホモ変異体ES細胞の増殖能と次世代シーケンサーで得られたリード数の相関が得られた。この結果は、in vivoにおけるそれぞれのホモ変異体の寄与率を次世代シーケンサーで得られたリード数で評価できる事を示し、本実験系の有効性が示されたと考えている。 また約100種類のホモ変異体ES細胞の分化実験も平行して行い、外胚葉分化、中胚葉分化において異常を来す変異体候補を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が作成したバーコードの中には合成の際に生じたリピート配列の影響で、次世代シーケンサーでリードされにくいものも5%程度存在する事が分かった。リードされ難いバーコードでラベルされている細胞を効率よく測定するために、別のバーコードでラベルし直してテラトーマ形成実験で使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、ホモ変異体ES細胞を用いたテラトーマ作成及び奇形種に関与する因子の探索に取りかかる。このため、約20匹のNOD/SCIDマウスを購入しテラトーマ形成を行う。また1件の次世代シーケンス解析の受託を予定している(1件あたり80万円)。
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