2012 Fiscal Year Research-status Report
老化に伴う疾患の発症及び進行を抑制する物質の単離とその作用機序の解明
Project/Area Number |
24659181
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
千葉 卓哉 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (40336152)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 老化 / 機能性食品 / 加齢 / 老化関連疾患 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
研究の目的:老化に伴って発症頻度が増加する、ガンや認知症などの疾患の発症を抑制、または遅延させる可能性のある物質のスクリーニング系を、in vitroおよびin vivoにおいて構築し、さらにそのような物質の候補を同定することを目指して研究を行った。 方法:我々が同定した、老化疾患の予防に関連する遺伝子の発現を一括して制御すると示唆される、転写因子が結合配列をもちいてレポーターアッセイ系を構築する。レポーターは、酵素反応によって検出が容易な分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子(SEAP: secreted alkaline phosphatase)をもちいた。In vitro系においては2種類のマウス肝臓由来培養細胞(SV40細胞およびTLR2細胞)をもちいて複数の細胞株を樹立した。これらの細胞から定常状態でのレポーターの発現を指標としてそれぞれ1系統の細胞株を選択し、さらに研究を行った。また、in vivo系においてはハイドロダイナミック法をもちいた一過性トランスジェニックマウスを作製し、レポーターの活性化を解析した。さらに、レポーターを構成的に発現するトランスジェニックマウスについても開発を行った。 研究の成果:in vitro系においては、高脂血症に対する治療薬等の既存の薬剤をもちいてレポーターの発現を解析したところ、樹立した細胞が薬剤に応答してレポーター活性が上昇される可能性が示唆された。In vivo系においては自由摂食およびカロリー制限下でのレポーターの発現を解析したところ、カロリー制限を行ったマウスに導入されたレポーターの活性が、自由摂食群のそれと比較して有意に上昇していることが明らかとなった。また、これまでにこのマウスに投与した機能性成分によるレポーター活性の上昇は、一部の成分において確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroおよびin vivoの実験系が構築されており、平成25年度よりスクリーニングを実施する体制が整っている。カロリー制限下でレポーターの活性化が見られたことから、この実験系の有効性が示唆された。しかし、レポーター発現のバックグラウンドレベルが高い可能性もあるため、別の発現コンストラクトをもちいたアッセイ系の構築にも取り組んでいる。以上の理由により、研究はおおむね順調に進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
レポーターのコンストラクトを、酸化ストレス下において活性化されるコンストラクトと組み合わせることで、より選択性が高く、バックグラウンドレベルの低いものに改良する。現在までに構築された実験系は、特にin vivoにおいては有効であると示唆されることから、開発したトランスジェニックマウスへの様々な機能性食品候補の投与を開始する。一方で、新たなコンストラクトをもちいたin vitroおよびin vivoの実験系の構築も同時並行して実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子・タンパク質解析試薬やガラス・プラスチック器具等の消耗品を主な使途としつつ、動物飼育・購入費用、研究補助、および学会出張費にあてる。以下にその内訳を示す。 試薬、キット類 30万円、細胞培養用品 20万円、プラスチック器具 20万円 実験動物作製・維持費 30万円、研究補助費 20万円、旅費 10万円 論文校正印刷費 10万円、合計 140万円
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