2012 Fiscal Year Research-status Report
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24659182
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山崎 小百合 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70567255)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / 制御性T細胞 / 皮膚 / 自己免疫疾患 / 尋常性白斑 |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでに、樹状細胞により抗原を提示する事で自己免疫反応等を抑制する制御性T細胞が抗原特異的に増殖する事をマウスの系で示してきた。本研究では、樹状細胞により増殖する制御性T細胞を駆使して、尋常性白斑の特異的治療を目指す萌芽研究を行う。尋常性白斑は進行性に全身に白斑が広がる疾患で非常に難治である。尋常性白斑の一因は、皮膚の色素産生細胞メラノサイトを標的とした自己免疫疾患と考えられている。樹状細胞により増殖する制御性T細胞を利用してメラノサイト特異的制御性T細胞を誘導する事を目標とし、尋常性白斑の新しい免疫療法への開発に必要なデータを出す事を目指す。 本年度はヒト末梢血液と皮膚組織からの樹状細胞と制御性T細胞の採取条件を検討と、樹状細胞サブセットの検討を行った。ヒト末梢血液から単球を分離しサイトカインを用いて樹状細胞を誘導する方法を確立した。ヒト末梢血液の各種樹状細胞サブセットをflow cytometerによるmultiple colorにて解析する方法も確立した。 また、皮膚組織から細胞の回収を行うため、条件検討を行った。ヒトの皮膚はマウスの皮膚に比べてとても固く、細胞を多く回収する条件に時間を費やしている。皮膚組織の樹状細胞とT細胞を回収する為にコラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、などの濃度をかえる、組織ホモジェナイザーの利用などの回収率をあげるための条件を検討中である。 皮膚組織からの制御性T細胞と樹状細胞サブセットのflow cytometerの解析は可能になったが、細胞の回収率を上げる為に現在も条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状細胞によるメラノサイト抗原特異的制御性T細胞の試験管内増殖条件と増殖した制御性T細胞の抑制能の検討を行う為に、最初に正常人の末梢血液の制御性T細胞をFoxp3,CD25,CD4にて解析した。Foxp3抗体のクローンを比較し、最もクリアーにFoxp3を染色できる条件を決定した。更に、AriaII flow cytometerを使用して純度よくFoxp3+制御性T細胞を採取する事ができる事を確認した。 同時に、末梢血液からCD14+monocyteをMACSビーズで回収し、GM-CSF, IL-4で培養する事で HLADR強陽性、CD11c+の樹状細胞が誘導できる条件を決定した。血清抗原を提示する樹状細胞に反応するT細胞の増殖を抑制するため、無血清の培地でも樹状細胞が誘導できる事も確認した。 また、末梢血液の樹状細胞サブセットを multple color染色でflow cytometerで解析した。CD11c, HLADR, BDCA1, BDCA3, CD123などの抗体を利用してBDCA1+樹状細胞, BDCA3+樹状細胞、plasmacytoid樹状細胞を分離できる条件を決定した。 さらに、ヒト生検皮膚組織を使用し、制御性T細胞と樹状細胞の解析をFlow cytometerで解析したが、皮膚組織からの細胞の回収率が上がらなかった。尋常性白斑の白斑部の皮膚組織より樹状細胞とそのサブセット、制御性T細胞のFlow cytometerによる解析する事はできたが、細胞の回収率をあげるために現在条件を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚からの細胞の回収率を上げる為、MACS組織ホモジェナイザーのヒートコントローラーを利用する事にした。しかし、業者の都合でヒートコントローラーの導入が、H25年に遅れることになった為、研究期間の1年間延長を申請する事にした。ヒートコントローラーを導入して条件を決定後、皮膚から細胞を回収して研究計画を推進する。皮膚からの細胞の回収率を上げる事ができれば皮膚由来のメラノサイトの誘導もしやすくなると考える。一方、皮膚メラノサイトの抗原として最近発売されたmelanocyte抗原由来ペプチドプールを使用する事も考えている。melanocyte抗原由来ペプチドプールの利用でより効率よく抗原特異的制御性T細胞が誘導できる可能性がある。尋常性白斑の患者様と対照からのサンプルの血液に関しての比較検討も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
導入が遅れているMACS組織ホモジェナイザーのヒートコントローラーをH25年度内に導入し、ヒト皮膚からの細胞の回収率を上げる条件を検討する。次年度の研究費の使用計画使用額は、引き続き皮膚組織からの細胞採取、樹状細胞、制御性T細胞の共培養実験、培養後に増殖した制御性T細胞を使用した試験管内抑制能の解析、免疫不全マウスにエフェクター細胞を移入した(ヒト化マウス)移植メラノサイト拒絶モデルを使用した生体内での抑制能の解析に使用する予定である。培養に使用するサイトカイン、各種抗体やMACSビーズは高価であり、その他プラスチック機器、マウスの飼育などに費用が必要である。Flow cytometerやAutoMACSの維持や使用料にも費用が必要である。
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