2012 Fiscal Year Research-status Report
がん間質細胞の特異な生物像を標的とした、新たな制がん法の開発
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24659185
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
石井 源一郎 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, ユニット長 (00270869)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | がん組織 / がんの進展、転移 / がん間質細胞の分子標的治療法 / がん関連線維芽細胞 |
Research Abstract |
がん組織内には、がん細胞のみならず、がん細胞周囲を取り巻く間質細胞 (線維芽細胞、血管構成細胞、単球/マクロファージなど) も多数含まれる。中でも線維芽細胞は、がん間質細胞の中で最も豊富に存在する細胞であり、がん細胞との相互作用を介して特異な生物像を獲得し、がん進展に重要な影響を与えている可能性が示唆されている。 本研究では、1) がん間質内線維芽細胞が、がん細胞との相互作用を介して獲得する特異な生物像の同定、2) 獲得した特異な生物像を 規定するシグナルの解明、3) 特定したシグナルが活性化された線維芽細胞が、がんの進展、転移を促進する機構の解明、を試み、がん間質線維芽細胞の特異シグナルを制御する“がん間質細胞の分子標的治療法”の実現に向けた学術基盤の確立を目指す。 本年度は、1)ヒト肺がん組織よりcancer associated fibroblasts (CAFs)を分離培養した。その後hTERT遺伝子をlentiviral vector (蛍光タンパク発現)を用いて遺伝子導入することにより寿命延長することを確認した。蛍光タンパクを指標にsingl cell sortingを行い、CAFsのクローン株を作製することを試みた。現在までに、4症例のCAFsより31クローンを得ることに成功した。今後は、肺がん細胞株との共培養系あるいは共移植系を用いて、腫瘍の進展を促進するクローンを選別する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト肺癌検体4症例からCAFsを分離培養し、31クローンを得ることができた。 一個の細胞が実験使用可能となる細胞数まで増殖するには、3-4ケ月を必要とする。 これらを考えると、概ね順調に進展にしていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
CAFsのクローン株を用いて、in vitro, in vivo解析により、腫瘍の進展を促進するクローンを選別する。非がん部由来の線維芽細胞をコントロールとして、cDNA microarray 法にて発現に差を認めた遺伝子を抽出する。候補遺伝子が、機能遺伝子であるかどうかの検討を、in vitro, in vivoにて解析する。 上記機能遺伝子の発現を制御するシグナルをpathway 解析にて同定する。特異的なシグナルを制御する分子の機能抑制が、CAFsの腫瘍促進効果をキャンセルできるかどうか、in vivo, in vitroのモデルを再度用いて検討する。 CAFsを標的とした“間質細胞の分子標的治療法”の妥当性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究はがんの生物像を、最先端の生物技術を駆使して解明していく極めて新しい取り組みである。従って生物特性の機能評価に必要な測定システムに研究費を用いる。 本研究ではプローブ合成やDNA microarray、細胞実験から動物実験に至るまで多岐にわたる実験を行う必要があり、そのための合成用試薬類、生化学試薬類、細胞実験関連器具類、実験動物に関する消耗品費を使用する。 さらには、旅費、論文等の研究成果公表に関わる経費を計上してある。
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[Journal Article] Podoplanin-positive cancer associated fibroblast could have prognostic value independent of cancer cell phenotype in stage I lung squamous cell carcinoma: Utility of combining analysis of both cancer cell phenotype and cancer associated fibroblast phenotype.2013
Author(s)
Ono S, Ishii G*, Nagai K, Takuwa T, Yoshida J, Nishimura M, Hishida T, Aokage K Fujii S, Ikeda N, Ochiai A
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Journal Title
Chest
Volume: 2013, Apr;143(4)
Pages: 963-70.
Peer Reviewed
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