2014 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症モデルTs65Dnマウス中枢神経障害発症機序に関わる酸化修飾蛋白質の探索
Project/Area Number |
24659186
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
七里 元督 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (20434780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 豊文 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (10247843)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ダウン症 / 酸化修飾蛋白質 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症への抗酸化治療の可能性を検討することを目的に、我々は今までにダウン症モデルTs65Dnマウスに対し胎児期からのビタミンEを投与し、10週令の時点でモリス水迷路試験での顕著な記憶学習障害および高架式十字迷路での開放脚滞在率の延長(不安の減少、危険な環境に対する認識の障害)が改善されることを報告していた。2015年度、本マウスにおける行動障害が離乳期から老年期までのどの時期に生じるのか、ビタミンEの長期投与による改善効果が得られるのかを確認することを目的に実験を実施した。受精時から対照食もしくはビタミンE過剰食を投与開始し、5週齢、10週齢、30週齢、12ヶ月齢、24ヵ月齢の時点で高架式十字迷路による行動評価を行った。Ts65Dnマウスでは5週齢の時点から24ヵ月齢まですべての期間で顕著な開放脚滞在率の延長、不安行動の減少が確認された。また、今回の研究では胎児期から30週齢までビタミンEの投与を行ったが、5週齢~30週齢のいずれの時点でも行動障害を改善することを確認することができた。 一方、本Ts65Dnマウスでは対照マウスに比較して、脳内の脂肪酸結合蛋白(FABP-7)の過剰発現および不溶性異物(リポフスチンなど)の細胞内過剰形成を認め、さらに各臓器中でキマーゼ(キモトリプシン様セリンプロテアーゼ)遺伝子および酵素活性が著増していることを見出した。本知見から酸化ストレスだけではなくキマーゼの過剰発現・活性亢進がダウン症脳内に不溶性異物の沈着を生じ、この結果として神経細胞死が誘導されることが明らかとなった。
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