2014 Fiscal Year Annual Research Report
媒介蚊体内でのマラリア原虫の分化・発育誘導に関与するハマダラカ特異的因子の同定
Project/Area Number |
24659188
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
新井 明治 香川大学, 医学部, 准教授 (30294432)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | マラリア原虫 / 蚊体内ステージ / オオシスト培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
Plasmodium Mosquito Stage培養におけるハマダラカ成分の影響を検証する目的で、蚊成虫の抽出物を添加する実験を行った。羽化後5~7日目の蚊を集めて麻酔したマウスに吸血させた後、吸血メス、非吸血メス、オスの3群に分けた。吸血5日後に、それぞれの群の蚊をエタノールで洗浄した後、PBSに懸濁してホモジナイズし、遠心後の上清を回収して抽出液とした。各抽出液をオオシスト培地と1:1の割合で希釈し、約30匹/mL 相当の蚊抽出物を含む培養液を調製して培養を開始した。培養容器にはibidi社のμ-slide (無処理、ibi処理、ポリ-L-リジン、4型コラーゲン、フィブロネクチン)を用いた。培養5日目までは低率ながらオオキネートから幼若オオシストへの分化が認められたが、その後雑菌の繁殖によるコンタミネーションの徴候が出現し、蚊抽出液を用いた群では十分なオオシスト発育に至らなかった。対照として実施した、蚊抽出液を添加しない群では一定の大きさまでオオシストの発育が認められたが、スポロゾイト形成には至らなかった。コーティングの種類別では、フィブロネクチン処理が最もオオシスト発育が良好であった。別の蚊抽出液を調製して同じ実験を繰り返したが、同様の結果となった。上記の結果から、蚊成虫の表面はエタノールである程度殺菌処理が可能であるが、中腸内の細菌の持ち込みを防ぐことは極めて難しいことがわかった。特に吸血の前後で中腸内の細菌数は10倍以上に増殖するため、吸血蚊の抽出液を使用することは現実的ではないと考えられる。平成24年度に実施した、サナギの抽出物を用いた実験では、コンタミネーションによるダメージはわずかであったことから、今後サナギの抽出液を用いて、細胞外基質の効果を検証してゆく予定である。
|