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2012 Fiscal Year Research-status Report

出芽酵母を用いた寄生線虫由来の長寿遺伝子の単離

Research Project

Project/Area Number 24659190
Research InstitutionUniversity of Miyazaki

Principal Investigator

丸山 治彦  宮崎大学, 医学部, 教授 (90229625)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords線虫 / 寿命
Research Abstract

近年のモデル生物を用いた研究により、寿命は、発生や分化と同じく生化学の言葉で記述できる生命現象であることがわかってきた。これまでに明らかにされた、寿命の決定に一定の役割を演ずるシグナル伝達系は、酵母、線虫、ハエ、哺乳動物で共通しており、シグナル経路の機能喪失により寿命が延びることから、野生型では寿命には一定の限度がもうけられていると考えられる。一方、寄生虫は近縁の自由生活種と比べると著しく長寿であるので、寄生虫はなんらかの「長寿遺伝子」を獲得するように進化してきた可能性が高い。本研究では、ベネズエラ糞線虫の成虫が発現している遺伝子を出芽酵母に導入し、寿命延長作用のある遺伝子を同定する。
初年度(平成24年度)は、酵母内の遺伝子断片から全長の遺伝子を得るために必須である、ベネズエラ糞線虫のゲノム・トランスクリプトーム情報を徹底して充実させた。ゲノムでは、次世代シーケンサのロシュ454およびイルミナHiseqのリード情報をアセンブルして、ある程度の品質のドラフトゲノム得ることができた。発現遺伝子の情報では、異なった8つの発育段階の虫体のRNAseqをイルミナHiseqで実施し、現在解析中である。これらの解析を通じて、自由生活種に存在せず寄生線虫特異的な遺伝子を同定することが可能であり、その中に長寿遺伝子が存在することが期待できる。このような分析により、仮に単一遺伝子の導入では寿命延長効果が明らかでない場合でも、長寿遺伝子の単離という当初目的の達成可能性を向上させると考える。
さらに、初年度の注目べき成果として、これまで得るのが困難であった自由生活世代のメスを得ることができるようになったことが挙げられる。これにより、長寿命と短寿命のメスを直接比較し検討することが可能になった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究の当初計画では、ベネズエラ糞線虫の寄生世代のメスからcDNAを調整し、出芽酵母でライブラリを作製して、経時寿命chronological lifespanおよび分裂寿命replicative lifespanについてスクリーニングを実施することとしていた。ところが、平成24年度には、研究の基盤となるゲノム・トランスクリプトーム情報は十分に整備することはできたが、スクリーニングに耐える酵母ライブラリの作製ができなかった。これにより、計画に遅れが生じていることは明らかであり、25年度は速やかにライブラリを作製し、経時寿命と分裂寿命のスクリーニングを開始したい。
しかしながら、初年度の研究によって、これまで得るのが困難であった自由生活世代のメスを得ることができるようになったのは重大な進歩である。寄生世代のメスはきわめて長寿命(>400日)であるのに対し、自由生活世代のメスは短命(数日)である。ベネズエラ糞線虫由来の「長寿遺伝子」がなんらかのタンパク質をコードしているとすると、それは寄生世代では発現するが自由生活世代では発現しないと考えられる。そのような遺伝子を絞り込んでいくことでも、当初目的を達成できると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

当初計画になかった方法も加えて2方面から長寿遺伝子の単離を目指す。
ひとつは当初の予定通り出芽酵母でライブラリを作製して、経時寿命および分裂寿命についてスクリーニングを実施する。経時寿命のスクリーニングはフローサイトメータで死細胞をカウントする方法を、分裂寿命のスクリーニングは培養液の細胞数を濁度OD600で計測する方法を用いる。それぞれについて長寿命クローンが得られればインサートの塩基配列を決定し、ベネズエラ糞線虫のゲノム・トランスクリプトーム配列情報からcDNA全長の塩基配列を決定する。
もう一方のアプローチは、これまで得るのが困難であった自由生活世代のメスを得ることができるようになったことを最大限利用する。ベネズエラ糞線虫由来の「長寿遺伝子」がタンパク質をコードしているとすると、それは寄生世代では発現するが自由生活世代では発現していないと考えられる。平成24年度には遺伝子研究の基盤となるゲノム・トランスクリプトーム情報をかなりの程度まで整備することができたので、発現解析によって候補遺伝子を絞り込み、狙った遺伝子を酵母に導入して長寿効果を測ることが可能になった。このアプローチによれば、単一遺伝子の導入では長寿効果が得られない場合でも、複数の候補遺伝子を同時に導入して効果をみることが可能である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度の研究費使用計画は以下の通り
消耗品費のおもなものは、酵母ライブラリの作製と自由生活世代のメス成虫のRNAseqに要する費用、コンベンショナルなクローニングやPCRに係る費用である。これに加え、研究補助(単純作業)のための謝金、成果発表のための旅費、投稿料などが必要となる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Identification of a Bacteria-Like Ferrochelatase in Strongyloides venezuelensis, an Animal Parasitic Nematode.2013

    • Author(s)
      Nagayasu E, Ishikawa SA, Taketani S, Chakraborty G, Yoshida A, Inagaki Y, Maruyama H.
    • Journal Title

      PLoS One.

      Volume: 8 Pages: e58458

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0058458.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Transcriptomic analysis of four developmental stages of Strongyloides venezuelensis.2013

    • Author(s)
      Nagayasu E, Ogura Y, Itoh T, Yoshida A, Chakraborty G, Hayashi T, Maruyama H.
    • Journal Title

      Parasitol Int.

      Volume: 62 Pages: 57-65

    • DOI

      10.1016/j.parint.2012.09.006.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] A novel C-type lectin identified by EST analysis in tissue migratory larvae of Ascaris suum.2012

    • Author(s)
      Yoshida A, Nagayasu E, Horii Y, Maruyama H.
    • Journal Title

      Parasitol Res.

      Volume: 110 Pages: 1583-1586

    • DOI

      10.1007/s00436-011-2677-9.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Genome and transcriptome analysis of Strongyloides venezuelensis, an animal parasitic nematode.2013

    • Author(s)
      E. Nagayasu, Y. Ogura, T. Ito, I. Yoshida, G. Chakraborty, T. Hayashi, H. Maruyama.
    • Organizer
      International Symposium on Genome Science “Expanding Frontiers of Genome Science.
    • Place of Presentation
      Tokyo, Japan
    • Year and Date
      20130109-20130110
  • [Presentation] Bacteria-like ferrochelatase in animal parasitic nematodes.2012

    • Author(s)
      E. Nagayasu, S. Ishikawa, S. Taketani, G. Chakraborty, A. Yoshida, Y. Inagaki, H. Maruyama
    • Organizer
      The 11th Awaji International Forum on Infection and Immunity.
    • Place of Presentation
      Awaji, Japan
    • Year and Date
      20120911-20120914

URL: 

Published: 2014-07-24  

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