2012 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞を分化させた赤血球細胞を用いた三日熱マラリア原虫培養系の確立
Project/Area Number |
24659192
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
矢野 和彦 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (30392393)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 感染症 / 微生物 / マラリア / iPS細胞 / 培養 |
Research Abstract |
本研究は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来赤血球細胞を用いた、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax,以下 P.vivax)の培養系の確立を目的とする。具体的には、iPS細胞から赤血球分化誘導を行い、国立国際医療研究センター(NCGM)病院で採取された三日熱マラリア患者の感染血液と共培養を行い、分化誘導細胞にP.vivaxが感染するかどうか、分裂・増殖するかどうか、様々な培養条件を検討して研究する。 24年度は、ヒトiPS細胞より赤血球系細胞の分化誘導の検討を行った。用いたiPS細胞はNCGM疾患制御研究部において、山中因子をセンダイウイルスベクターによって導入し作成されたものである。未分化のiPS細胞は、繁雑なマウス胎仔線維芽細胞を用いたフィーダー培養ではなくEssential 8培地(Lifetechnology社)、vitronectinコートのシャーレを導入することにより無フィーダーで、週二度の継代で未分化維持することが可能になった。 赤血球への分化誘導は、Elizabeth S. et al(2005)の方法により行った。未分化のiPS細胞をトリプシンEDTAで単一の細胞になるまで解離し、細胞をカウント後MPCコートの96穴丸底プレートに各ウェル5,000~10,000個になるように入れ、1,500rpmでプレートを遠心し浮遊培養を開始する。単一だったiPS細胞は丸底プレートの各ウェルの中心に円状に集まる。およそ10日後、生きた細胞同士が球状に集合しスフィアーを形成に成功した。このスフィアー形成は、毎週行いルーチン化している。現在調整したスフィアーを赤色スフィアー(赤血球)への分化誘導を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Elizabeth S. et al(2005)によれば、10日~12日間浮遊培養を行った後のスフィアーを平底のプレートに移し、接着培養を行い16日目ごろになると赤色のスフィアー(赤血球)が観察されるようになる。しかしながら、24年度の本研究ではスフィアーの形成は出来るが、赤色のスフィアーの形成は、まだ観察できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
患者由来の三日熱マラリア原虫は希少であるため、小さなスケールでiPS分化誘導赤血球に共培養感染させるために96穴プレートで分化誘導培養するElizabeth S. et al(2005)の方法を導入した。現在NCGM疾患制御研究部の協力により、浮遊培養日数を長期化(一ヶ月以上)する工夫や、使用するサイトカインのロット変更など改善を進めているが、今後は他の分化誘導の方法も行うことにする。 赤血球分化に成功したら、直ちにNCGMの三日熱マラリア患者検体と共培養を行い、計画通り感染実験を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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