2013 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を分化させた赤血球細胞を用いた三日熱マラリア原虫培養系の確立
Project/Area Number |
24659192
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
矢野 和彦 独立行政法人国立国際医療研究センター, 熱帯医学・マラリア研究部, 上級研究員 (30392393)
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Keywords | 三日熱マラリア / iPS細胞 / 培養 |
Research Abstract |
本研究は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来赤血球細胞を用いた、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax,以下 P.vivax)の培養系の確立を目的とした。具体的には、iPS細胞から赤血球分化誘導を行い、国立国際医療研究センター(NCGM)病院で採取された三日熱マラリア患者の感染血液と共培養を行い、分化誘導細胞にP.vivaxが感染するかどうか、分裂・増殖するかどうか、様々な培養条件を検討して研究した。 25年度は引き続き、ヒトiPS細胞より赤血球系細胞の分化誘導の検討を行った。用いたiPS細胞はNCGM疾患制御研究部において作成されたSe-V iPS細胞、および国立生育医療研究センターで作製された#25細胞を用いた。それぞれのiPS細胞は、Essential 8培地とGELTREX(Lifetechnology社)コートのシャーレを用いた無フィーダーで、週二度の継代培養で未分化状態を維持した。 赤血球への分化誘導は、同様Elizabeth S. et al(2005)の浮遊培養法により行ったが、スフィアーの形成の効率を上げるために、未分化細胞の処理にCKT solution(細胞はく離液)を用いて行った。浮遊培養開始後3~5日で球状に集合したスフィアーを形成した。2~3日ごとに培地交換を行い培養を継続した結果、培養開始40日後にスフィアーの一部が赤化した赤芽球の作製に成功した。赤化したスフェアーは、その後顕微鏡下で単独採取し、ガラスボトムのシャーレに移して接着培養を開始し、三日熱マラリア原虫感染の準備を行っている。残念ながら24~25年度中に三日熱マラリア患者の来院が無く、三日熱マラリア原虫を本研究に供することができていない。そこで現在、培養熱帯熱マラリア原虫を用いて、作製されたiPS細胞由来赤芽球への感染を試み、電子顕微鏡レベルでその確認を行っている。
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