2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24659197
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜田 茂幸 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60028777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 史人 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30423122)
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Keywords | A群レンサ球菌 / 共生 / 常在性 / 破綻 |
Research Abstract |
本研究では、A群レンサ球菌 (Streptococcus pyogenes: GAS) が、健常者に病原性を引き起こさずに常在を可能とする未知の因子を明らかとする目的で、メタトランスクリプトーム解析から、原因RNAの探索をするとともに、実際にGAS病原因子を抑制するのかを検証した。レンサ球菌種の分類学上の分類基準種であり、かつ咽頭部粘膜が初発感染部位と考えられるA群レンサ球菌GASは、咽頭炎をはじめとする多彩な病態を示すだけでなく、致死率の極めて高い劇症型A群レンサ球菌感染症 (TSLS) の起因菌として注目を集めている。そのため、本GASでは、申請者らが決定した劇症型のSSI-1株 (Genome Res., 2003) を含め13株のゲノムが決定されている。本菌の疫学データからは、健常者の多くが病原細菌を発病すること無くキャリアとして維持しており、その理由は未解明のままである。とくにGASにおいては、健常者の15-30%程度が発病すること無く保持しており、この「常在化」の分子機構を明らかにすることは、現在主流の抗生剤を用いた治療法に取って代わる新たな治療法の開発につながると考えられる。生態学的には少しでもニッチが異なれば、種分化が起こり、近縁種を排除するのではなく、共存することで種の多様性は保持される。すなわち、病原細菌が過剰な病原性を発揮することは、種全体の多様性維持という観点からは、病原細菌を排除することは必ずしも種にとって望ましくない。そのため、申請者らは特にGASの近縁種が咽頭というニッチにおいて、GASの病原因子の発現を抑制する因子を保有していると考えたことが、本研究の遂行に至った経緯である。本研究により、GASの常在を可能とする遺伝子を3個を同定することができた。また、本遺伝子は幅広い常在細菌に存在することを明らかとすることが出来た。
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