2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞増殖に関わる細菌型mitoNEETシステムの網羅的解析
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24659202
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
岩崎 俊雄 日本医科大学, 医学部, 講師 (40277497)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | mitoNEET / 鉄硫黄クラスター / 金属蛋白質 / 好熱菌 / シアノバクテリア / レドックス / 構造機能生理 |
Research Abstract |
細菌型mitoNEETは [2Fe-2S]クラスターをもつ可溶性蛋白質であり、電子伝達、あるいは生体内レドックス・バランスと対応した新しい生体内システムと推察される。高度好熱菌 およびシアノバクテリアのゲノム情報より見出した細菌型mitoNEETホモログ(TthNEETおよびPirB)およびにつき、構造機能生理解析を連携して行い、平成24年度には以下の主要成果を得た。 1. T. thermophilus HB8のTthNEET0026欠損株と野生株の生育および網羅的メタボローム比較解析結果を再検討し、欠損株で生育回復しうる栄養源同定を試みた。真核細胞mitoNEETでは、鉄輸送系とのリンクが推察されているが、培地にFe2+、NADPH前駆体を添加しても生育阻害の回復は認められなかった。次年度も検討を続け、これまでの構造解析結果と合わせ、今後論文として発表する。 2. Hisタグ付加したTthNEET0026の相同組換株を作成したが、欠損株と同様に生育阻害された。次年度は欠損株とHis-tagつきTthNEETとを利用し、in vitroでTthNEET結合蛋白質同定を目指す。 3. シアノバクテリアPirBのC末側が膜結合に寄与することを見いだし、可溶性酵素としての高発現系を作成した。結晶化を試みたが、酸素感受性が高く成功していない。また、シアノバクテリアpriB遺伝子欠損株を作成し、次年度にDNAマイクロアレイ解析を行う計画である。 4. ラットmitoNEET結晶構造解析を行い、各種薬剤との共結晶作成、構造解析を試みた。このうち、一つにつき、2.5A分解能で薬剤結合型mitoNEET構造解析に世界で初めて成功し、薬剤結合部位の一つを同定することができた。次年度は薬剤非結合型の高分解能データ解析を行い、今後論文として発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、「細胞増殖に影響する細菌型MitoNEETの網羅的オミックス解析」を目的として、厳選したモデル微生物(高度好熱菌、シアノバクテリア)を材料に、当初計画課題に取組んだ。とくに、(1)メタボロームデータ再整理に基づく欠損株と野生型の表現型比較、(2)結晶化、結晶構造解析を中心にすすめた。 (1)細菌型ホモログTthNEETでは、鉄イオンやNADPH原料等(ニコチンアミドなど)は欠損株増殖に大きな改善効果がなく、メタボローム解析結果をもとに他要因を検討中である。DNAマイクロアレイ解析については、材料作成に重点をおいたが、次年度への展望が開けた。 (2)結晶化、結晶構造解析については、膜酵素全体構造解析については進展しなかったが、真核細胞mitoNEETの薬剤結合型結晶構造解析に世界で初めて成功し、当初想定していなかった展望が開けた。 以上の主要成果を勘案し、全体としては順調に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年度の進捗状況をもとに、引き続き下記研究課題に取り組む計画である。 (1)シアノバクテリアの細菌型mitoNEETホモログpirB欠損株の作成を継続して行い、これをもとにpirB欠損株のゲノムワイドなDNAマイクロアレイ解析、表現型解析をすすめる。 (2)プルダウンアッセイが成功しなかったため、方針を変更し、好熱菌TthNEET欠損株を利用したTthNEET結合蛋白質同定を継続してすすめる。 (3)前年度の結果をもとに、結晶構造解析を中心にすすめ、今後論文として発表することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的大型測定機器は揃っている。このため、平成25年度は、主として下記項目に本研究費を使用する計画である。 (1)DNAマイクロアレイ、培地類、分子生物学および生化学キット類、冷媒等の消耗品費。 (2)連携研究者との連携研究のための内国旅費。 (3)成果発表費(論文投稿、別刷代含む)。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Dissection of hydrogen bond interaction network around an iron-sulfur cluster by site-specific isotope labeling of hyperthermophilic archaeal Rieske-type ferredoxin2012
Author(s)
Iwasaki, T., Fukazawa, R., Miyajima-Nakano, Y., Baldansuren, A., Matsushita, S., Lin, M. T., Gennis, R.B., Hasegawa, K., Kumasaka, T., Dikanov, S.A.
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 134
Pages: 19731-19738
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Characterization of the extremophile homologs of mitoNEET2012
Author(s)
Hagiuda, E., Miyajima-Nakano, Y., Ohmori, D., Kusano, T., Matsushita, S., Dikanov, S.A., Kumasaka, T., Iwasaki, T.
Organizer
9th International Congress on Extremophiles
Place of Presentation
Sevilla, Spain
Year and Date
20120910-20120913
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[Presentation] Selective isotope labelling of extremophile metalloproteins2012
Author(s)
Fukazawa, R., Lin, M. T., Miyajima-Nakano, Y., Baldansuren, A., Matsushita, S., Choi, S.K., Dikanov, S.A., Gennis, R.B., Iwasaki, T.
Organizer
9th International Congress on Extremophiles
Place of Presentation
Sevilla, Spain
Year and Date
20120910-20120913
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[Presentation] Active site structure of hyperthermophilic archaeal Rieske-type ferredoxin (ARF)2012
Author(s)
Hasegawa, K., Matsushita, S., Konosu, A., Baldansuren, A., Fukazawa, R., Dikanov, S.A., Iwasaki, T., Kumasaka, T.
Organizer
9th International Congress on Extremophiles
Place of Presentation
Sevilla, Spain
Year and Date
20120910-20120912
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