2012 Fiscal Year Research-status Report
常温備蓄型経口インフルエンザワクチンの開発基盤研究
Project/Area Number |
24659203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幸 義和 東京大学, 医科学研究所, 助教 (60345030)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ワクチン |
Research Abstract |
インフルエンザに対する備蓄型経口ワクチンを開発するために、ワクチンをコメに発現させることで常温長期安定性が証明されているコメ型ワクチン発現システムMucoRiceを用いて、マウスに適応させた季節性H1N1型インフルエンザウイルス(PR8)及び新型インフルエンザウイルスCalifornia/4/2009のHA1部分に、粘膜免疫誘導のモジュレーターであるコレラ毒素B鎖を結合させたキメラ分子CTB-HA1を高発現させた経口インフルエンザワクチンMucoRice-CTB-HA1を作出し、マウスにそれぞれ経口免疫および従来の注射免疫に加えた追加経口免疫を行い、粘膜免疫誘導効果、防御免疫効果、交差免疫等を試験することで、長期常温安定な経口インフルエンザワクチンの可能性を検討する。初年度はグルテリンやプロラミン13Kを抑制するiRNAカセットを内蔵するバイナリーベクターにプロラミンプロモーター支配下にあるPR8インフルエンザウイルスおよびCalifornia/4/2009新型インフルエンザウイルスのHA1遺伝子の医療用蛋白カセットを入したT-DNA遺伝子をアグロバクターで導入した、遺伝子組換え米(T0)を作出し、完熟種子(T1)を得た。現在、T1からT2種子を作成中である。蛋白発現は、PR8または新型インフルエンザHA兎抗体及びCTB抗体を用いたウエスタンブロット確認した。なお本実験は所属研究室内に設置する遺伝子組換え米を作出できる人工照射下で栽培可能なグロースチャンバー内で栽培している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亜型を考慮せず可能な多くの亜型に対応でき、乳児老年層にも投与可能な安全な粘膜ワクチンを長期間冷蔵保存不要で常備する戦略を考えている。このため当研究室で開発されたコメ発現システムを用いて、経口インフルエンザワクチンの開発を行う。流行株を予測するのではなく可能性のあるすべての株のHA抗原を米型ワクチン(MucoRice)として常温で長期間備蓄して、必要時に経口投与で免疫または注射ワクチンの追加免疫として用いる戦略である。現行では、順調に研究は進展し、コメ型インフルエンザ米の作出に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では2つの可能性を考えている。一つ目は経口免疫単独による防御免疫の誘導。二つ目は注射ワクチン(HAワクチンまたはHA-DNAワクチン)の追加免疫に用いる。前者は画期的な成果で、各種亜型インフルエンザウイルスHAのMucoRice-CTB-HA1を作出することで、ワクチンは3年間保持可能なことから、可能な多くのインフルエンザウイルスワクチンを常備させることができる。ワクチン自体は現在東大医科研内で臨床試験用に開発中のMucoRice-CTB同様、GMP対応の年3回実施可能な完全閉鎖型水耕栽培で品質を確保した形で製造が可能である。製造には5か月の期間が必要であるが、毎年3年先の使用に対応する各亜種に対するワクチンの製造が可能となる。後者の場合はHIVワクチン等で注目を浴びているheterologous prime-boost vaccination(S. Lu, Curr. Opi. Immunol.2009 21. 346-351)であり、注射での免疫を補完する意味で、注射では誘導できない粘膜免疫を誘導することで,インフルエンザ亜型によらないワクチンの開発の可能性も生まれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
T2、T3の蛋白発現は、PR8または新型インフルエンザHA兎抗体及びCTB抗体を用いたウエスタンブロット確認する。またこれらの抗体を用いて開花後15日レベルの種子(T3)を用いて予備的免疫電顕を行い、目的抗原が米の胚乳細胞中の蛋白貯蔵体であるに集積されていることを予備的に確認する予定。 作出された、インフルエンザワクチン米、MucoRice-CTB-HA1(PR8)とMucoRice-CTB-HA1n(新型)をウエスタンブロット及びクマシー蛋白染色で定量する。本年度後半からワクチン米をBalb/cマウスに2週間間隔で3-4回経口免疫して、最終免疫から1-2週間後にCTB及びHA特異的血清及び粘膜IgAの誘導を確認する予定。
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Research Products
(10 results)