2012 Fiscal Year Research-status Report
構成的免疫学の方法論に基づく免疫記憶形成の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
24659225
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 大介 東京理科大学, 生命医科学研究所, 教授 (70204914)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 免疫学 / B細胞 / 免疫学的記憶 / 胚中心 / 免疫応答 / 細胞分化 / プラズマ細胞 |
Research Abstract |
本研究はB細胞のT細胞依存性免疫応答をin vitroで再現し包括的に理解することを目標とした。これまでに、in vitroでナイーブB細胞から大量の胚中心B細胞様の細胞(iGB細胞)を作製するiGB細胞培養法を確立した。この系では、IL4による1次培養では記憶B細胞に、IL21による2次培養では長期生存プラズマ細胞に、さらに、IL4もIL21も入れない3次培養では記憶B細胞に、それぞれin vivoで分化する前駆細胞が誘導される。本研究では、記憶B細胞と長期生存プラズマ細胞への分化誘導に必要な細胞内因子を同定し、未分化iGB細胞にそれらを段階的に再構成することにより、in vitroにおいてそれぞれの細胞に至る構成的分化誘導を実現する。平成24年度は以下のことが達成された。 1.Bach2はB細胞特異的に発現する転写抑制因子で、胚中心形成・クラススイッチ・体細胞超変異に必要であるが、記憶B細胞分化に必要かどうかは知られていない。そこで、Bach2欠損マウス由来の1次iGB細胞をマウスに移入したところ、記憶B細胞への分化は起こらなかった。また、Bach2欠損マウスをT依存性抗原で免疫したところ、抗原特異的記憶B細胞は形成されなかった。さらに、交配によりB細胞でBlimp1を欠損するBach2欠損マウスを作製し同様に免疫応答を解析したところ、胚中心形成とクラススイッチは回復したが、記憶B細胞は形成されなかった。以上より、Bach2は記憶B細胞分化に必要であることが明らかになった。 2.網羅的発現解析により、1次および3次iGB細胞に発現し、2次iGB細胞には発現しない遺伝子の中から蛋白修飾因子や転写因子を選び、記憶B細胞誘導への関与を解析している。その中には1次iGB細胞に導入するとin vivoでの記憶B細胞の形成が促進されるものと、抑制されるものが含まれていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胚中心B細胞から長期生存プラズマ細胞への分化過程に関わる遺伝子については、IRF4, Blimp1, Xbp1等の転写因子が以前より知られていて、今回の解析ではそれら以外にこれといった転写因子の候補が見いだせなかった。よって、記憶B細胞への分化経路に注力することに決め、長期生存プラズマ細胞への分化経路の研究計画は達成できなかった。一方、記憶B細胞への分化経路にBach2が必要であることが分かり、また、iGB細胞からin vivoにおいて記憶B細胞への分化を促進する因子も見つかったので、こちらは当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の結果をもとに、以下のように研究を進める。 Bach2が記憶B細胞分化に必要であることが明らかとなったので、Blimp1欠損およびBach2/Blimp1二重欠損のB細胞からそれぞれ作製した1次iGB細胞における遺伝子発現をマイクロアレイにより比較し、Bach2が制御する遺伝子を同定する。それらの機能について、iGB細胞系を用いて解析する。それらに加えて、iGB細胞における網羅的発現解析から同定され、iGB細胞の記憶B細胞分化を促進した遺伝子についても、その遺伝子のノックアウトマウスを入手し、免疫応答における記憶B細胞形成について解析する。 同定された記憶B細胞分化に必要と考えられる因子について、Bach2とともに様々な順序で2次iGB細胞に導入し、gp49陽性化を指標として発現させる因子とその発現のタイミングを最適化する。また、このgp49陽性となったiGB細胞をマウスに移入し、記憶細胞形成能を確認する。さらにこのgp49陽性iGB細胞が短期間の培養でCD38+, CD62L+, GL7-かつ増殖停止した記憶B細胞にまで分化するのか、そうでなければさらに何が必要かを調べる。最後に、得られたin vitro再構成の結果をもとに、生体分子相互作用ネットワークの各種データベースも利用して、胚中心B細胞から記憶B細胞あるいはLP細胞へと分化を誘導する分子制御ネットワークを描き出し、包括的な理解を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究を遂行するために必要な消耗品を購入する。具体的には、試薬類、抗体、サイトカイン、マウス、ディスポーザブル・プラスティック器具類を購入する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] A novel mechanism for the autonomous termination of pre-B cell receptor expression via induction of lysosomal-associated protein transmembrane 5.2012
Author(s)
Kawano, Y., Ouchida, R., Wang, J.Y., Yoshikawa, S., Yamamoto, M., Kitamura, D. and Karasuyama, H.
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Journal Title
Mol. Cell. Biol.
Volume: 32
Pages: 4462-4471
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Syk-dependent signaling pathways in neutrophils and macrophages are indispensable in the pathogenesis of anti-collagen antibody-induced arthritis.2012
Author(s)
Ozaki, N., Suzuki, S., Ishida, M., Harada, Y., Tanaka, K., Sato, Y., Kono, T., Kubo, M., Kitamura, D., Encinas, J., Hara, H. and Yoshida, H.
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Journal Title
Int. Immunol.
Volume: 24
Pages: 539-550
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] E2A and CBP/p300 act in synergy to promote chromatin accessibility of the immunoglobulin κ locus.2012
Author(s)
Sakamoto, S., Wakae, K., Anzai, Y., Murai, K., Tamaki, N., Miyazaki, M., Miyazaki, K., Romanow, W. J., Ikawa, T., Kitamura, D., Yanagihara, I., Minato, N., Murre, C. and Agata, Y.
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Journal Title
J. Immunol.
Volume: 188
Pages: 5547-5560
DOI
Peer Reviewed
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