2013 Fiscal Year Annual Research Report
地方医療圏における全県的医療情報共有による広域搬送システムの構築
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24659229
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
花田 裕之 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20250615)
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Keywords | 心電図写真伝送 / 救急医療サーバー |
Research Abstract |
少ない医師と診療科の偏りによって病院の集約化が避けられない地方医療圏において、医療資源、医師を有効に活用するために、急性心筋梗塞(AMI)搬送システム、大血管疾患と心疾患患者の効率的転院搬送システム、緊急対応が必要な外傷患者を全県の病院で効率的に診療するシステムの構築を試みた。急性心筋梗塞については、地方医療圏では救急車の12誘導心電図搭載が進んでいないこと、伝送装置自体が高価であることから、現有のモニター心電図の写真電送で診断価値があるかを検証した。27例のモニター画面の写真電送は心電図の解像度が良好で、ST上昇型心筋梗塞か否かについて十分に診断価値を有した。血圧、呼吸数、酸素飽和度の情報も画面で送れる一方で患者情報は添付されないため、個人情報は伝送されない。前壁梗塞患者連続22例でモニターII誘導の電極張替え(+電極を第二肋間胸骨左縁に貼付)により、前胸部誘導のST上昇が再現できることも判明し、多くの救急車現有の双極II誘導モニター心電図のみで、下壁・前壁心筋梗塞が診断可能であることも判明した。12誘導心電図が全ての救急車から伝送可能になるには相当時間がかかることが予想されるが、それまでの期間は既存のモニター心電図を用いて電極位置を工夫して使用することにより、急性心筋梗塞患者の救急車内診断が可能である。また胸部誘導をより簡便に記録する電極も開発し、その診断能力を既存の記録方法と比較検証している。 共有サーバーを救命センターに設置して、これに診療情報を送受信することで重症心血管疾患と外傷患者、脳外科疾患に効率的医療提供ができるかを検討した。サーバーに医療情報を入力する労力が大きく、医師看護師事務員各1名ずつ当直する現場でコンピュータ操作をする手間から、結局CT等の画面を写真撮影して送ることが精一杯であった。個人情報保護と同時に現場で使いやすいシステムが必要である。
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